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研究代表者・研究課題

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【平成17年度採択】

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都市基盤の災害事故リスクの監視とマネジメント

藤野 陽三

藤野 陽三
東京大学 大学院工学系研究科 教授

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研究概要

  道路、鉄道、建物群など、線・点群から構成される都市基盤構造物における災害や事故の防止による安全・安心の実現に向け、実用性の高い統合センシングシステムを開発します。本研究は、「構造物・広域環境センシング技術」「ネットワークフュージョン技術」「ハザード・脆弱性の統合的評価によるリスク監視・マネジメント技術」の3つから構成され、2つのフィールド(東大キャンパス、高速鉄道)において有効性を実証的に示します。


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重要技術

(1) RLI(リアルタイムロックインイメージング)多点多自由度変位センシング

 交通などの線状ネットワークとその周囲の面的な広がりに適合した新しい分布空間センシング技術の構築を課題とする。地震などにマクロな損傷を規定するのは変位であることを鑑み,要素技術としてGauss-Laguerreビームやその一般化などの複数の零点を含む多重極ビームと,その波面振幅位相分布の時間相関イメージセンサによる実時間ヘテロダイン検出法を新たに開発する。これにより,任意の2点間の6自由度(並進3自由度,回転3自由度)の静止精密計測を可能にする。


(2) PPP(パルス・プリポンプ)光ファイバ分布センシング

 都市基盤構造物のミクロな損傷を検出するために,本研究ではPPP(パルス・プリポンプ)方式を用いた高分解能ブリルアン光センシング技術の理論体系を構築した上,歪計測精度や計測距離およびリアルタイム化に影響する各種影響要因などを究明し,それらを高度化させる手法を開発する.歪計測精度に関しては現在の25−50μレベルから実用レベルの10μまでの改善を目指す.一方,超高耐久性と多機能化光ファイバと設置技術および構造健全性評価法の開発を実施し,分布型光ファイバセンサ技術によってリアルタイム化された構造・環境モニタリングシステムを構築する.


(3) 漏洩同軸ケーブル(LCX)線状センシング

 列車との通信用に敷設されている漏洩同軸ケーブル(LCX)を利用した分布型環境計測技術を開発する.2本の漏洩同軸ケーブル間の電場を観測し,高感度化させた微弱電界解析技術により,降雨,強風などの,環境センシングとしての機能を開発する.


(4) 統合リスク評価技術

 移動体センシングを含めたセミアクティブセンシング手法の構築では,これまで不確定性が大きくノイズとして扱われている構造物を取り巻く環境からの微少な外乱とそれによる構造物の挙動を高精度に把握し,脆弱度の同定手法を構築する.また,統合リスク評価技術の構築として,従来のハザード・脆弱性の評価に加えてセミアクティブセンシング手法により,小振幅域の応答データからの合理的な外挿による災害事故リスクを直接統合的に評価する方法,および広域センシングデータからの相対スケール評価によるリスク判定手法を開発する.さらに,実証フィールド(東大キャンパス,高速鉄道)を用いて実際のセンシング・通信における制約や不完全性に配慮して,非同期情報を許容した分散処理法についても研究を進める.


実証実験

 都市基盤や広域監視の特性や問題点を明らかにし,実用性の高い研究とするために,研究前半に東大キャンパスの構造物群のリスク監視を,後半に高速鉄道という動的都市基盤をフィールドとして取り上げ,実証的に研究を進める.


1)東大キャンパス:建物群を利用し,各研究分担者の成果を踏まえ研究初年度から,ハザード・脆弱度計測を開始する.加速度センサ,変位センサ,ひずみセンサ等本研究の要素技術を順次導入し,高密度計測による建物個別の高精度評価および疎計測によるキャンパス空間全体の評価を行うとともに,多点多自由度変位センシング,光ファイバ,LCX計測システムの実装とその検証を行う.これらのセンサデータは学内LAN(有線および無線)を介してデータベースサーバに集約するとともに,解析ノードに配送する.この際,中小の有感地震によるによる振動を計測し,これまでに想定されていない特性を検出し,各建物に関して脆弱性やリスクを相対的に評価する解析法を確立し,リスクを統合的に可視化する技術を実現する.

2)高速鉄道:制約条件や要求水準が高度な高速鉄道については,研究後半において,本研究で開発されたセンサネットワーク関連技術を試行的に敷設し,その有効性を実証的に示す.

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