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研究代表者・研究課題

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【平成17年度採択】

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社会の安全・安心に貢献するユビキタス集積化マイクロセンサの開発

石田 誠

石田 誠
豊橋技術科学大学工学部 教授

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研究概要

 本研究では、安心して暮らせる安全な社会の実現に向けて、あらゆる生活空間においてセンサネットが形成可能な完全無線型集積化マイクロセンサ・ノードを開発します。超小型の各種センサと知能化回路を一体形成し、その上、独自の技術によって微弱無線回路と高性能無線エネルギー授受機構をチップ上に集積化します。これにより、電源や電池寿命から解放された完全無線型マイクロ集積センサ・ノードの世界初の実現を目指します。その結果、人工物・生体のヘルスケアへの応用へつなげます。


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実証実験

 超小型・完全無線動作が可能なマイクロセンサ・ノードによって構成されるユビキタスセンサネットワークの形成にむけて、本プロジェクトにおいては、各種のスマートマイクロセンサと無線電力供給機能、無線通信機能を集積化する「ユビキタスセンサ・マイクロノード」を開発し、フィールドにおけるセンサ動作の実証実験を行う。マイクロノードの例として、「人物・建造物安全モニタ・マイクロノード」、ならびに「神経活動モニタ用・マイクロノード」を製作し、実際または仮想的に作り出したノード設置環境下における素子の機能と有用性を評価する。各種センサ、信号処理回路、無線通信回路、自立発電回路等、様々な機能を高密度に集積するマイクロノード・デバイスを実現する上では、最終的な素子製造技術の安定性向上が必要である。そのため、各製造工程における集積素子への物理的ダメージを最小限に抑え、複雑なシステム形成後の評価を容易とする設計手法の確立が急務である。これらの課題をクリアして開発されたマイクロノードを用いて、センサネットワーク形成に関する実証実験が実施される。


 センサ・マイクロノードの応用については、各種応用分野に従事する研究グループとの綿密な議論を行いながら、新しい分野を開拓する。プロジェクト最終段階においては、開発された各種センサ・マイクロノードが実際のフィールドにおいて評価される。人物装着や埋め込み状況下における各種集積化センサの動作特性評価を実施し、特殊な埋込環境がセンサに与える影響と性能の関係等を明らかにする。


 「神経活動モニタ用・マイクロノード」の実証評価については、豊橋技術科学大学 石田グループが中心となって素子開発を行い、産業技術総合研究所の金子グループ、ならびに理化学研究所の臼井グループ等の応用研究グループと連携して実験を実施する。ユビキタスセンサ・マイクロノードにおいては、生体内部、人工構造物内部等、外部の空間と物理的に遮へいされた特殊環境下においても、電力の送受信と情報伝送を行うことが求められる。例えば「神経活動モニタ用・マイクロノード」は、水分を含む生体組織中に埋め込まれた状態で通信しなければならない。本プロジェクトにおいては、各材料に埋め込まれた環境における無線電源回路の電力伝送能力、ならびに微弱無線通信機能の性能について様々な角度から評価を実施し、完全無線動作が可能なセンサ・マイクロノードの有用性を明らかにする。


神経活動モニタ用・マイクロノード搭載予定のシリコンプローブ(豊橋技術科学大学/理化学研究所の共同研究)

神経活動モニタ用・マイクロノード搭載予定のシリコンプローブ
(豊橋技術科学大学/理化学研究所の共同研究)


網膜神経活動計測結果(豊橋技術科学大学/理化学研究所の共同研究)

網膜神経活動計測結果(豊橋技術科学大学/理化学研究所の共同研究)

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重要技術

 本研究においては、社会における安全性、ならびに、安心して暮らすことのできる社会において現実的に必要不可欠と考えられているユビキタス・センサネットワークへ対応可能な無線機能集積型の超小型半導体センサ技術を実現する。信号通信ならびにエネルギー供給を全て無線で実現する画期的機能を一つのマイクロチップ上に集積化する基盤技術の開発、ならびに、その機能を具体化したデバイスを形成する。よって、各種集積化センサの信号処理、無線信号伝送を可能とし、かつ、無線による素子駆動電力の供給を可能とする自立発電機能をシステムレベルで統合する設計技術の開発が重要であり、その早期実現が本プロジェクトの第一目標である。具体的には、一つのチップ上で「無線」による複数種のセンサ信号の送信と制御信号の受信、ならびにネットワーク・ノードとなるチップ全体を駆動する電力の無線受信を実現し、完全無線状態で動作可能な超小型のセンサネットワーク・ノードをシリコンチップで実現する。


 上述した「ユビキタス・センサネットワーク」に接続可能な、完全無線の「ユビキタスセンサ・マイクロノード」を実現するには、センサとその信号処理回路に加えて、無線通信機能も駆動可能な高効率無線電力供給機能を集積化する必要があり、それに向けた新しいデバイス形成技術の開発と確立が重要となる。本プロジェクトの大きな特徴は、高性能受動素子を集積化チップと一体化するための技術を独自の手法で実現し、高効率の無線電力受信回路をスマートセンサチップと一体化することにある。表面実装型のコイル等、複数種類・ウェハレベル・バッチ処理により集積化する独自の技術が活用される。各種センサと信号処理機能を一体化したスマートセンサに無線通信、ならびに無線電源回路機能が集積化されることで、恒久的にメンテナンスが不要となる画期的なユビキタスセンサ・マイクロノードが実現される。プロジェクトを通じて様々な課題を克服し、その成果として形成されたユビキタスセンサ・マイクロノード・チップを用いて、ユビキタス・センサネットワークの形成と、その応用開拓に関する各種の実証評価実験を行ってゆく。



完全無線動作を可能とする「マイクロノード」の概念図

完全無線動作を可能とする「マイクロノード」の概念図


完全無線動作を可能とする「マイクロノード」の具体的構成例(神経プローブ)

完全無線動作を可能とする「マイクロノード」の具体的構成例(神経プローブ)

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