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戦略的創造推進事業CREST研究領域 > ナノ製造

研究領域

戦略目標

研究領域名

ナノ科学を基盤とした革新的製造技術の創成
研究領域HP

研究総括

堀池 靖浩((独)物質・材料研究機構 名誉フェロー)

概要

 本研究領域では、ナノデバイスやナノ材料を高効率に製造する技術群の基盤構築、およびこれらの応用による具体的応用実施例の提示、ならびに製造プロセスに係る現象のナノスケール科学による革新を目指した研究を推進し、これらを「ナノ製造技術」の基盤として構築することを通して将来のナノテクノロジーの本格的実用化を目指すものです。
 具体的には、様々なナノ材料やそれらの複合体により格段に優れた機能を発現する実用化可能な新材料や、これらの材料およびナノ構造に由来して発揮される高性能デバイスの創製、及びその高効率生産技術、ナノレベルでの加工技術、ナノ自己組織化を活用した製造技術、製造に使用できるナノ計測・検査技術等を対象とします。更に製造技術を革新的に変えるナノ科学の研究も対象としますが、研究終了時点で実用化に関しそのシナリオが確実に描けていることが期待されます。

平成20年度採択分  中間評価

研究課題
ナノバイオチップ技術を利用する高速酵素分子進化システム創製
研究代表者(所属)
一木 隆範 (東京大学大学院工学系研究科 准教授 )
概要
高速分子進化工学のパラダイムと技術にナノバイオチップ、1分子計測技術を融合することにより生物のメカニズムに習って分子機械を作り出すマザー製造システムの創製を目指します。 本研究は従来困難であった有用酵素の合目的進化を可能にする汎用性の高い実用化技術の実現を目的とし、医薬品、洗剤、食品加工、研究開発用試薬、臨床分析、さらにはバイオエネルギー、バイオセンサーなど広範なバイオ応用分野への貢献が期待されます。
研究課題
無機ナノシートを用いた次世代エレクトロニクス用ナノ材料/製造プロセスの開発
研究代表者(所属)
佐々木 高義 ((独)物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 フェロー)
概要
層状化合物を層1枚にまでバラバラに剥離して得られる無機ナノシートを2次元機能ブロックとして基板表面に精密累積して、ナノ薄膜や超格子を形成する液相プロセスを開発します。この新規ナノ構造製造技術を用いて、従来のバルク材料では実現が困難な革新的な性能を有する誘電体薄膜や透明磁性薄膜などを創製するとともに、ガラスなど各種基材上に機能性結晶薄膜を配向成長させる技術の開発を行い、電子・情報通信技術の発展に貢献することを目指します。
研究課題
階層的に構造化されたバイオミメティック・ナノ表面創製技術の開発
研究代表者(所属)
下村 政嗣 (東北大学原子分子材料科学高等研究機構 教授 )
概要
生物に見られる自己集合・自己組織化による階層的構造化とそれに基づく機能発現を模倣して、ボトムアップ型生産技術としての「バイオミメティック・エンジニアリング」を体系化するために、散逸構造のように無秩序から規則構造が形成される「物理的プロセスとしての自己組織化」と、無電解メッキなどの「化学プロセスによる構造形成」を組み合わせ、ナノからミクロンにいたる多種多様な表面を階層的に加工する技術を確立します。
研究課題
高精度にサイズ制御した単電子デバイスの開発
研究代表者(所属)
真島 豊 (東京工業大学応用セラミックス研究所 教授 )
概要
無電解メッキの自己停止機能を用いてギャップ長を高精度に制御した5nm以下のナノギャップ電極を一度に高い歩留まりで作製するプロセスを確立し、分子構造を精密に規定することが可能な金属クラスターおよび金属錯体分子ワイヤーを単電子島としてナノギャップ電極間に選択的に集積することにより、常温で確実に動作する「高精度にサイズ制御した単電子デバイス」により論理回路を構築するための製造技術を確立します。

平成19年度採択分 年報 中間評価

研究課題
免疫制御能を有する高分子ナノ粒子ワクチンの製造
研究代表者(所属)
明石 満 (大阪大学 大学院工学研究科 教授)
概要
本研究では、生分解性高分子を基盤とした免疫応答制御能を有するナノ粒子を開発し、高分子ナノ粒子ワクチンを実用化するための製造技術および製剤化プロセスを構築します。ナノ粒子の分子設計により、組織・細胞内での抗原動態制御能と免疫賦活剤として機能を付与し、安全かつ普遍性の高いナノ粒子ワクチンを創製することで、感染症・がん・自己免疫疾患の免疫療法に対する新たな治療戦略の展開が可能となります。
研究課題
高機能分子「スーパー抗体酵素」の自動合成装置と大量合成
研究代表者(所属)
宇田 泰三 (大分大学 工学部応用化学科 教授)
概要
高機能性ナノ分子「スーパー抗体酵素」は標的とするタンパク質を高度に認識し、かつ、酵素的に分解します。本研究では、 テーラーメード医療を視野に、医療現場で患者に適ったヒト型「スーパー抗体酵素」が作れるという画期的な道具(自動合成装置)を提供すべく、要素技術開発を行います。並行して遺伝子工学的にヒト型配列を持つ「スーパー抗体酵素」を取得し、大量に発現後、このナノ分子の生体内機能を詳細に評価することにより悪性の感染症やガンなどに対する新型治療薬を世界に先駆けて開発します。
研究課題
第二世代カーボンナノチューブ創製による不代替デバイス開発
研究代表者(所属)
片浦 弘道 ((独)産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 グループ長)
概要
カーボンナノチューブ(CNT)には金属型と半導体型の2種類があり、それらが混ざって合成される事が実用化の大きな妨げになっていました。この課題では新技術により金属型と半導体型をほぼ完全に分離し、さらにCNT内に異種分子を内包する事により、これまでにない高機能の第二世代CNTの創製を目指します。これを用いて、CNT本来のポテンシャルを活かした、高性能薄膜トランジスタや非線形光学素子の開発を行います。
研究課題
イオン液体と真空技術による革新的ナノ材料創成法の開発
研究代表者(所属)
桑畑 進 (大阪大学 大学院工学研究科 教授)
概要
蒸気圧が限りなく0に近いイオン液体は、真空下でも蒸発しません。この特徴に着目し、1)イオン液体に金のスパッタリングを行うと金の超微粒子を調製できる、2)イオン液体を走査型電子顕微鏡で観察するとイオン液体は帯電することなく観察できる、という現象を発見しました。これらの発見を発展させ、イオン液体と真空技術を組み合わせた革新的なナノ材料の創成法とそれらの計測法(その場測定法)の開発を目指します。
研究課題
プラズマナノ科学創成によるプロセスナビゲーション構築とソフト材料加工
研究代表者(所属)
堀 勝 (名古屋大学 大学院工学研究科 教授)
概要
将来のナノデバイス量産のために、プラズマプロセスを試行錯誤的手法から科学に基づいた手法への質的変換を実現します。そのため、ラジカル・イオン密度、エネルギーのモニタリング技術を有したデスクトップ型コンビナトリアルプラズマ解析装置を創成し、プラズマナノ科学を構築するとともに、科学に基づいたプロセスデータマップによるプロセスナビゲーションという指導原理を確立します。これにより有機ソフト材料の革新的ナノ加工生産技術を確立します。
研究課題
ソフトナノマテリアル3D分子イメージング法の開発
研究代表者(所属)
松尾 二郎 (京都大学 大学院工学研究科附属量子理工学研究実験センター 准教授)
概要
有機物や生体高分子などのソフトナノマテリアルを高速重イオン励起により脱離・イオン化させる2次イオン質量分析法を開発し、サブミクロンオーダーの分子イメージングを実現します。さらに、有機物を破壊することなくエッチングするクラスターイオンビーム法と有機的に組み合わせて、ソフトナノマテリアルの3D分子イメージング法を確立し、ナノ・バイオテクノロジー分野に画期的な評価手法を提供することを目的とします。

平成18年度採択分 年報 中間評価

研究課題
遺伝子治療実用化のための超分子ナノデバイス製造技術の創成
研究代表者(所属)
片岡 一則 (東京大学大学院 工学系研究科・医学系研究科 教授)
概要
安全でかつ効果的な遺伝子治療の実現を目指して、精密高分子合成技術を基盤とする超分子自己組織化プロセスに基づき、複数のインテリジェント機能を数十nm スケールの中に創り込んだ超分子ナノデバイスを構築します。実際の医療応用に適する形での機能・安全性評価と高効率製造技術を確立することによって、「具体的に医療現場で使えるもの」としての応用基盤を構築し、癌、循環器疾患、運動器疾患という三大疾患の克服を目指します。
研究課題
再生医療に向けたバイオ/ナノハイブリッドプラットホーム技術の構築
研究代表者(所属)
小寺 秀俊 (京都大学 大学院工学研究科 教授)
概要
本プロジェクトは、微細加工・微細操作などのMEMS/NEMS技術に基づき、臓器を構成する細胞およびその有機的集合体である臓器を再生するためのバイオ・ナノプラットホーム技術を開発し、再生医科学の研究とMEMSの利用方法に関する新たな手法を実現します。バイオテクノロジーとMEMS技術を融合するこの製造技術は、MEMS技術を活用して今後のバイオナノテクノロジーを推進するための新たな製造技術として期待できます。
研究課題
ソリューションプラズマ反応場の自律制御化とナノ合成・加工への応用
研究代表者(所属)
高井 治 (名古屋大学 エコトピア科学研究所 所長・教授)
概要
ソリューションプラズマは、従来の気相プラズマとは異なり、液相において発生され、新しい材料合成・加工の反応場として期待できます。本研究では、本プラズマ中へのナノバブル導入と新溶媒開発を行い、反応場としての多様性・可能性を追求します。また、励起状態計測手法、溶媒中活性種の定性・定量法を確立し、ナノ材料合成・加工分野で各種応用可能な自律制御"新反応容器"開発をめざし、ソルーションプラズマの実用化を目指します。
研究課題
ナノ界面・電子状態制御による高速動作有機トランジスタ
研究代表者(所属)
塚越 一仁 ((独)物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 主任研究者)
概要
有機薄膜トランジスタは素子内部の界面の特性で大きく変わり、従来から安定性および信頼性の制御が困難とされてきました。この界面を根本から理解し制御することで、短チャネル有機トランジスタを高い制御性で実現するとともに、高速動作の限界に挑戦し、実用展開のための基盤技術の確立を目指します。この研究の発展は現在のIT機器の形状や概念に変革をもたらす次世代のプラスチックエレクトロニクスへの基盤技術となります。
研究課題
液晶性有機半導体材料の開発
研究代表者(所属)
半那 純一 (東京工業大学大学院 理工学研究科 教授)
概要
液晶分子が自己組織的に凝集したナノスケールの分子凝集相では結晶物質に匹敵する高速の電子伝導が起こります。この発見は液晶物質に分子配向をもつ高密度な凝集相を自発的に形成する新しいタイプの有機半導体としての位置づけを与えました。本研究では、非晶質有機半導体に代わる次世代の有機デバイス用半導体材料として実用的な応用展開に必要な、液晶物質の工学的な基盤を構築し、液晶トランジスタや液晶EL素子などの実現を目指します。
研究課題
マイクロ空間場によるナノ粒子の超精密合成
研究代表者(所属)
前田 英明 ((独)産業技術総合研究所 生産計測技術研究センタ−マイクロ空間化学ソリューションチーム チーム長)
概要
ナノ粒子技術は、21世紀型のボトムアップ型ナノテクノロジーとして大きな期待が寄せられています。本研究は、マイクロ空間化学合成技術をナノ粒子合成反応の精密解析ツールとして応用し、ナノ粒子生成過程を精査・解析することで、ナノ粒子利用時に要求される種々の付帯的要件を満足するような最適合成ルートの選定指針確立と製造プロセスへの展開を目的とします。
(*研究者の所属は2011年4月現在のものです)