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研究領域

戦略目標

研究領域名

次世代エレクトロニクスデバイスの創出に資する革新材料・プロセス研究
研究領域HP

研究総括

渡辺 久恒((株)EUVL基盤開発センター 代表取締役社長)

概要

 この研究領域は、半導体ロードマップ戦略に基づく技術進化の飽和を超越することを目的として、微細化パラダイムのみでは実現できない機能・性能を持つ、革新的且つ実用化可能なエレクトロニクスデバイスを創製するための材料・構造の開発及びプロセス開発を行う研究を対象とします。
 具体的には、新しい原理により消費電力の増大、製造コストの巨額化といった実用上の問題を解決するための高集積情報処理デバイス、有機物を含め異種材料や技術の融合により新機能・高性能を発揮するデバイス、及びそれらを可能にするプロセス研究、また従来にない斬新なアプリケーションを切り拓く研究等が含まれます。
 本研究領域では、材料・プロセスの特性・機構解明に留まらず、実用技術に発展することが十分見込まれる研究を推進します。

平成21年度採択分

研究課題
ナノデバイスのピコ秒物理の解析による揺らぎ最小化設計指針の開発
研究代表者(所属)
大毛利 健治 (筑波大学 数理物質系 准教授 )
概要
将来の超高速ナノスケールデバイスにおいては、時間的・空間的な統計数の欠如によりデバイス特性の記述が困難となります。本研究課題では、ナノデバイスのキャリア伝導を計測・解析し、非定常・非平衡状態のナノ伝導電子科学を深耕し、時間的・空間的な揺らぎが抑制されたナノデバイスの設計指針を開発します。
研究課題
計算科学によるグラファイト系材料の基礎物性解明とそのデバイス応用における設計指針の開発
研究代表者(所属)
岡田 晋 (筑波大学 数理物質系 准教授 )
概要
近年、グラファイト系材料を用いるデバイス応用開拓が盛んですが、材料基礎物性やその制御法に関して多くの未解明な部分があります。本研究課題ではグラファイトやグラフェン、ならびにグラフェン誘導構造を有するナノスケール炭素物質群に対して、量子力学に立脚した計算科学的手法による基礎物性解明を行い、グラファイト系デバイスの設計指針の提示を行います。
研究課題
高密度多層配線・三次元積層構造における局所的機械強度の計測手法の開発
研究代表者(所属)
神谷 庄司 (名古屋工業大学大学院工学研究科 教授)
概要
半導体集積デバイスは多層配線・三次元積層による高集積化が進んでいますが、それらの構造に依存した機械的特性の情報が不足しており、信頼性確保が課題となっています。本研究課題では、新たに高密度多層配線や三次元積層LSIの局所的機械強度の計測手法を開発し、長期信頼性の設計指針を提示します。
研究課題
電荷レス・スピン流の三次元注入技術を用いた超高速スピンデバイスの開発
研究代表者(所属)
木村 崇 (九州大学稲盛フロンティア研究センター 教授)
概要
電荷レス・スピン流の三次元注入技術、スピン方向高速変調技術、およびホイスラー合金によるスピン流の超効率生成技術を開発し、優れた熱擾乱耐性を有する超高速・極低消費電力駆動スピンデバイスを試作実証します。
研究課題
3端子型原子移動不揮発性デバイス「アトムトランジスター」の開発
研究代表者(所属)
長谷川 剛 ((独)物質・材料研究機構国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 主任研究者 )
概要
ゲート電極から金属原子(イオン)を供給し、ソース/ドレイン電極をショートさせることで、高いON/OFF比を実現する3端子型不揮発性デバイスである「アトムトランジスター」を開発します。さらにアトムトランジスターを用いた新しい機能デバイスの開拓も行います。
研究課題
原子論から始まる統合シミュレータの開発
研究代表者(所属)
森 伸也 (大阪大学大学院工学研究科 准教授 )
概要
膨大な計算時間を要する原子論的電子輸送シミュレーションを新しい計算アルゴリズム(R行列理論)の導入により短時間処理を可能とし、電子輸送シミュレーション、フォノン輸送シミュレーション、回路シミュレーションを統合したシミュレータを開発します。
研究課題
革新的プロセスによる金属/機能性酸化物複合デバイスの開発
研究代表者(所属)
湯浅 新治 ((独)産業技術総合研究所ナノスピントロニクス研究センター センター長 )
概要
金属磁性材料と機能性金属酸化物材料の複合構造による新しい不揮発性スイッチング機能の創出を目指し、材料選択、製膜条件最適化などを通して革新的プロセスを開発し、そのデバイス実証を行います。

平成20年度採択分  中間評価

研究課題
縦型ボディーチャネルMOSFETとその集積プロセスの開発
研究代表者(所属)
遠藤 哲郎 (東北大学学際科学国際高等研究センター 教授 )
概要
本研究では、デバイスのボディー領域全体を電流駆動領域とする新概念の縦型構造トランジスタのデバイス技術に加えて、その回路設計・材料・プロセス技術までを一貫して開発します。これにより、平面型MOSFETと比較して、駆動電流特性、リーク電流特性、集積密度を大幅に向上させた半導体LSIの新しいユニバーサル技術プラットフォームを提供することを目指します。
研究課題
コヒーレントEUV光を用いた極微パタン構造計測技術の開発
研究代表者(所属)
木下 博雄 (兵庫県立大学高度産業科学技術研究所 教授 )
概要
X線回折顕微法をEUV領域に展開し、より高精度な露光パタンの寸法計測ならびに欠陥観察が可能な計測技術の確立を図ります。スタンドアロン型の極短パルスレーザの高次高調波レーザからのコヒーレントEUV光源とEUVスキャトロメトリー顕微鏡との融合により、サブナノ精度のパタン寸法計測および露光用マスク欠陥観察技術を構築します。
研究課題
Ge High−k CMOSに向けた固相界面の理解と制御技術の開発
研究代表者(所属)
鳥海 明 (東京大学大学院工学系研究科 教授)
概要
次世代微細化CMOSの駆動電流向上と低電圧動作を可能にする、電子、正孔ともに移動度の高い半導体材料であるGeをベースにしたデバイス構造が期待されています。しかしながら、Ge系材料に対するゲート絶縁膜および電極界面は熱的、電気的安定性が悪く、その原因究明と対策が求められています。本研究課題ではGe High−k CMOS形成に向けて、ゲート絶縁膜および電極界面の物性の精緻な解析と革新的な界面制御技術の開発を行います。
研究課題
数値シミュレーションによる新材料・新機能の開発
研究代表者(所属)
前川 禎通 ((独)日本原子力研究開発機構先端基礎研究センター センター長)
概要
次世代集積化デバイスには電流のみならずスピン流も活用することが期待されています。本研究課題では、スピン流の効果も加味した一般化方程式による数値シミュレーション技術を構築し、電流とスピン流の熱的性質および相互変換プロセスを明らかにし、新しいスピン流応用デバイスに適した新材料・新機能の開発に向けた探索・提案を行います。
研究課題
超高速ナノインプリントリソグラフィ技術のプロセス科学と制御技術の開発
研究代表者(所属)
松井 真二 (兵庫県立大学高度産業科学技術研究所 教授 )
概要
次世代微細加工技術としてナノインプリント技術が注目されていますが、集積回路応用にはスループット、CDなどの課題があります。その解決には、ナノインプリントにおける材料・プロセスの科学的な解明と画期的な手法の提案が求められています。本研究課題では、実用性の高いナノインプリントリソグラフィに向けて材料・プロセス技術の開発を行います。

平成19年度採択分 年報  中間評価  事後評価  終了報告書

研究課題
機能性酸化物を用いた界面相転移スイッチングデバイスの開発
研究代表者(所属)
秋永 広幸 ((独)産業技術総合研究所ナノ電子デバイス研究センター 研究センター長)
概要
金属/絶縁性酸化膜の界面電子状態および強相関相転移の物性制御研究を通して、それを利用した不揮発性スイッチングデバイス技術の開発を行います。
研究課題
グラフェン・オン・シリコン材料・デバイス技術の開発
研究代表者(所属)
尾辻 泰一 (東北大学 電気通信研究所 教授)
概要
グラフェン・オン・シリコン(GOS)材料・プロセス技術の開発を通して、相補的スイッチングデバイス(CGOS)及びプラズモン共鳴テラヘルツデバイス(PRGOS)技術の開発を行います。これにより、シリコンテクノロジーをベースとしながら、キャリア輸送限界を超えた新しい超高速大規模集積デバイスの実現が期待されます。
研究課題
真空紫外レーザー光発生用非線形光学結晶の開発
研究代表者(所属)
佐々木 孝友 (大阪大学光科学センター 特任教授)
概要
次世代の極微小欠陥検査用光源のために、波長170nm台の真空紫外光発生用光学結晶の開発を行います。また、紫外レーザー損傷メカニズムの解明を通して光源の短波長・長寿命化技術の開発を行います。
研究課題
ハーフメタル強磁性体を用いたスピン機能MOSFETの開発
研究代表者(所属)
菅原 聡 (東京工業大学 大学院理工学研究科 准教授)
概要
キャリアのスピンに基づく機能をMOSFETに導入し,スピン自由度を用いた新しいシリコン集積回路を創出します.ハーフメタル強磁性体(HMF)によるメタル・ソース/ドレイン構造を用いた高機能MOSFET(スピンMOSFET),およびハーフメタル強磁性体電極を用いた強磁性トンネル接合とMOSFETとの機能融合デバイス(擬似スピンMOSFET)を開発して,これらの機能デバイスによる新概念のアーキテクチャに基づく新機能集積回路を創出します.
研究課題
極微細加工用レジスト研究とプロセスシミュレーターの開発
研究代表者(所属)
田川 精一 (大阪大学 産業科学研究所 特任教授)
概要
イオン化放射線(EUV、電子線等)はナノ領域にエネルギーを自由自在に付与することが可能であり、将来の極微細加工を支える重要な技術です。本研究では、このようなイオン化放射線の優れた特性を産業界が微細加工において十分に活用できるようにするための学術基盤を確立することを目標とします。イオン化放射線を用いる極微細加工用レジスト中に起きる反応機構を解明し、ナノ分子設計及びプロセス設計に活用し、プロセスシミュレーターの開発を行います。
研究課題
LSI用3次元カーボン・アクティブ配線の開発
研究代表者(所属)
二瓶 瑞久 (富士通株式会社 知的財産権本部 情報部 先端技術研究室 室長付)
概要
グラフェンは、電気伝導特性や熱伝導特性に優れていることに加え、アクティブ素子としての機能も期待される次世代エレクトロニクス材料の候補です。本研究では、従来のLSI横配線の課題である配線抵抗の増大、大電流密度による信頼性劣化を抑えるためにグラフェンを用いた高性能な配線技術の開発を行いました。特に、オリジナルな光電子制御プラズマCVD法を用いて、触媒金属を用いずに絶縁膜上に多層グラフェンを形成することに成功しました。このように、従来の銅配線に替わる高性能配線として、新しい付加価値を有する3次元カーボン・アクティブ配線の基盤技術を開発しました。
(*研究者の所属は2011年4月現在のものです)