国立研究開発法人 科学技術振興機構
第42回 JST数学キャラバン
in 京都
2025

2025年12月22日(月)13:30 ~ 17:30

 みなさんは「数学」についてどんなイメージをもっているでしょうか?
日々学校で勉強している様々な数学の問題を思い起こす人は多いでしょう。インターネットで試しに調べてみると、数学とは「数・図形・数量の変化などの背後にある法則を明らかにすることを目指す学問」とあります。
因数分解や面積の計算といった、皆さんが習っている数学という科目の内容は含まれていますので確かにそうだという気もします。

 しかし、実は数学という学問では「数」「図形」「数量の変化」というものは、皆さんの思っていることよりもはるかに深い対象や広い領域に及んでいるのです。
その深さと広さのおかげで、多くの研究者が毎日のように新しい数学の理論を創造し、それを使ってこれまでに解けなかった問題を解決できるのです。

 皆さんが授業で学んでいる数学という「科目」が、どのようにして最先端の「数学研究」へとダイナミックに変化していくのでしょうか?
そもそも、数学を研究するとはどういうことなのでしょうか?その可能性や限界はあるのでしょうか?

 また、研究者の方は高校生の頃、何を考え、どのようなことをしていたのでしょうか。
こうした疑問に答えられるよう、多彩で多様な講演を用意しました。さらに、キャラバンの最後には皆さんと講演者の交流の時間を設けています。
講演者の先生に自分の普段感じている数学や、聞いた話から感じたことを率直に話してみましょう。
数学は、考えられることは何でも考えられる自由な学問です。
きっと、学校の授業とはまたひと味違う、研究者の皆さんが感じている生き生きとした数学の姿を感じられると思います。

オーガナイザー(プログラム計画):荒井 迅(東京科学大学 教授)

オーガナイザー(プログラム計画):荒井 迅(東京科学大学 教授)

開催概要

日 時
2025年12月22日(月) 13:30 ~ 17:30(開場:13:00)
場 所
京都府立嵯峨野高等学校
対 象

高校生・一般(内容は高校生向け)

参加費

無料

主 催
国立研究開発法人 科学技術振興機構
共 催
京都府立嵯峨野高等学校

プログラム

13:00~
13:30

開場・受付

13:30~
13:35

開会、挨拶 (東京科学大学 教授 荒井 迅)

13:35~
14:15

講演1

統計数理研究所 先端データサイエンス研究系
包 含 准教授
(講演40分)

題名:「うごき」で理解する機械学習の原理

14:15~
14:20

休憩

14:20~
15:00

講演2

京都大学 高等研究院/医学研究科
李 聖林 教授
(講演40分)

題名:数学で医学をやってみませんか?

15:00~
15:05

休憩

15:05~
15:45

講演3

信州大学 繊維学部 機械・ロボット学科
岩本 憲泰 助教
(講演40分)

題名:ロボットの中にひそむ“曲面”の数学

15:45~
15:55

休憩

15:55~
17:25

研究者を囲んで意見交換会
各ブースにて講演者と参加者が自由に意見交換・質問をおこなう
(最後に写真撮影)

17:25~
17:30

閉会

講演者紹介

  • 包 含 写真
    包 含 研究テーマ画像

    題名:「うごき」で理解する機械学習の原理

    包 含 准教授
    (統計数理研究所 先端データサイエンス研究系)

    講演概要

    いまや人間を超える速度と正確さで文章や音声を認識できるようになってきた機械学習ですが、そんな「学習」のメカニズムが実は坂道を転がるボールのような「運動」と関連が深いと言ったら、気になりませんか?本講演では、「うごき」の視点で見たときに浮かび上がるコンピュータの「学習」の様子の一端をお見せします。

    講演者略歴

    2017年東京大学理学部情報科学科卒業。2022年同大学大学院情報理工学研究科コンピュータ科学専攻博士後期課程修了(博士(情報理工学))。2022年4月より京都大学白眉センター特定助教を経て、2025年2月より統計数理研究所准教授。

    参加者への一言

    高校生の頃から数学のテストはずっと苦手だったのですが、抽象的な概念や物のかたち・うごきを「手で触れられる」ようにしてくれる数学や物理の魅力に惹かれて、気づいたら(応用)数学の研究者をやっていました。そんな魅力の一端を皆さんと共有できればと思います。

  • 李 聖林 写真
    李 聖林 研究テーマ画像

    題名:数学で医学をやってみませんか?

    李 聖林 教授
    (京都大学 高等研究院/医学研究科)

    講演概要

    医学は大きく「基礎医学」と「臨床医学」に分けられます。「基礎医学」は、生物の仕組みを根本から理解しようとする学問で、生物学にとても近い分野です。数学や情報科学などと組み合わせて研究されることも多く、いわゆる数理生物学の世界にもつながっています。一方、「臨床医学」は、実際に病気の人を治すことを目的とした学問です。つまり、同じ医学でも、基礎医学は「将来、役に立つこと」を目指し、臨床医学は「今、役に立つこと」に重きを置いている点が大きく違います。ですから、臨床医学のための数学(数理科学)も、「将来」ではなく「今」役立つことが求められます。そのためには、数理モデルを作るときにも、これまでのように理論を重視するだけでなく、現場の医師が抱える課題を直接解決できるような発想が必要です。この講演では、私が皮膚科の先生たちと一緒に研究してきた経験をもとに、「現場での出会い」から「共同研究の始まり」、「医療のニーズへの対応」、そして「今すぐ役立つ数学」へと発展していった過程をお話しします。

    講演者略歴

    韓国釜山大学及び大学院修士課程の数学科を卒業後に来日。岡山大学大学院環境学研究科にて博士後期課程を2年で早期修了。JSPS DC1に採用され、博士課程在学中にOxford大学Mathematical Instituteに留学し、パターン形成の数理モデリングを本格的に学ぶ。JSPS PDとして東京大学数理科学研究科と理化学研究所を経た後、2014年から広島大学数学科にて助教、准教授(JSTさきがけ兼任)を歴任。2020年には同大学数学科の教授に就任。2021年10月より京都大学高等研究院・教授、2023年1月より同大学医学研究科・教授(兼任)を務め、現在に至る。

    参考サイト:https://ashbi.kyoto-u.ac.jp/bimed-math/

    参加者への一言

    「できるかできないか」ではなく、「やるかやらないか」を考える。

  • 岩本 憲泰 写真
    岩本 憲泰 研究テーマ画像

    題名:ロボットの中にひそむ“曲面”の数学

    岩本 憲泰 助教
    (信州大学 繊維学部 機械・ロボット学科)

    講演概要

    ロボットの動きや形の中には、実はたくさんの数学がひそんでいます。たとえば、ロボットアームの動きを記述する運動学は、関節の角度と手先の位置・向きを対応づける「多様体間の写像」として理解できます。さらに私の研究では、薄くてしなやかなロボットを「曲面」として表現し、その動きを数学的に設計しています。本講演では、「曲面」や「多様体」といった考え方が、実際のロボットづくりの中でどのように役立っているのかを紹介します。

    講演者略歴

    2016年3月、九州大学大学院工学府機械工学専攻博士後期課程修了。2016年から2017年まで九州大学大学院工学研究院学術研究員としてアシストスーツの研究に従事。2017年より信州大学繊維学部機械・ロボット学科バイオエンジニアリングコース助教。2019年より作動可微分多様体研究室を主宰。

    参加者への一言

    ものづくりの世界には、まだ結びつきが見つかっていない数学の成果がたくさんあります。そこに橋をかけることで、新しい発想が生まれ、イノベーションへとつながる可能性が広がります。こうした橋をかけるには、自分自身が本当に興味をもっているもの同士でなければ難しいと思います。皆さんもぜひ、自分の興味のある数学を探り、自分なりの橋のかけ方を考えてみてください。

主要参加プロジェクト(敬称略)

  • CREST

    CREST

    「数学・数理科学と情報科学の連携・融合による情報活用基盤の創出と社会課題解決に向けた展開」研究領域

    研究総括: 上田 修功(理化学研究所革新知能統合研究センター 副センター長/NTTコミュニケーション科学基礎研究所 リサーチプロフェッサー(客員フェロー))

    「予測・制御のための数理科学的基盤の創出」研究領域

    研究総括: 小谷 元子(理化学研究所 理事長特別補佐(領域総括)/同 開拓研究所 所長/同 数理創造研究センター チームディレクター/東北大学 理事/同 材料科学高等研究所 主任研究者)

  • さきがけ

    さきがけ 「未来数理科学」領域

    「未来を予測し制御するための数理を活用した新しい科学の探索」研究領域

    研究総括: 荒井 迅(東京科学大学 情報理工学院 教授)