サイエンスアゴラ2019 公開イベント開「催触れてみよう!未来のインタラクション技術」

サイエンスアゴラ2019 公開イベント開「催触れてみよう!未来のインタラクション技術」

みなさんは「数学」についてどんなイメージをもっているでしょうか? 日々学校で勉強している様々な数学の問題を思い起こす人は多いでしょう。インターネットで試しに調べてみると、数学とは「数・図形・数量の変化などの背後にある法則を明らかにすることを目指す学問」とあります。因数分解や面積の計算といった、皆さんが習っている数学という科目の内容は含まれていますので確かにそうだという気もします。しかし、実は数学という学問では「数」「図形」「数量の変化」というものは、皆さんの思っていることよりもはるかに深い対象や広い領域に及んでいるのです。その広さと深さのおかげで、多くの研究者が毎日のように新しい数学の理論を創造し、それを使ってこれまでに解けなかった問題を解決できるのです。
皆さんが授業で学んでいる数学という「科目」が、どのようにして最先端の「数学研究」へとダイナミックに変化していくのでしょうか? そもそも、数学を研究するとはどういうことなのでしょうか?その可能性や限界はあるのでしょうか?また、研究者の方は高校生の頃、何を考え、どのようなことをしていたのでしょうか。こうした疑問に答えられるよう、多彩で多様な講演を用意しました。さらに、キャラバンの最後には皆さんと講演者の交流の時間を設けています。講演者の先生に自分の普段感じている数学や、聞いた話から感じたことを率直に話してみましょう。数学は、考えられることは何でも考えられる自由な学問です。きっと、学校の授業とはまたひと味違う、研究者の皆さんが感じている生き生きとした数学の姿を感じられると思います。

オーガナイザー(プログラム計画):坂上貴之(京都大学 教授)

開催概要

日 時
2021年10月16日(土) 13:15~16:40
場 所
オンライン開催(Zoom)
対 象

高校生・一般(内容は高校生向け)

参加費

無料

主 催
国立研究開発法人 科学技術振興機構 戦略研究推進部
共 催
京都府立嵯峨野高等学校

プログラム

13:15

Zoom開設(受付)

13:30

開会、挨拶(坂上貴之:京都大学 教授)

13:45

東京大学 大学院総合文化研究科
舘 知宏 准教授
(講演30分、Q&A10分)

計算折紙のかたち

14:25

休憩

14:35

芝浦工業大学 システム理工学部
石渡 哲哉 教授
(講演30分、Q&A10分)

どっぷり浸かった10代のころ
~研究者の卵になるまで

15:15

休憩

15:25

九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所
小磯 深幸 教授
(講演30分、Q&A10分)

シャボン膜の数学と応用

16:05

休憩

16:15

研究者を囲んで(意見交換会)
講演者がブレイクアウトルーム1~3に入室しています。
参加者の皆様は自由に各ブレイクアウトルームに出入りして、講演者と意見交換・質問を行ってください。

16:35

閉会

講演者紹介

  • 舘 知宏 写真
    舘知宏 研究テーマ画像

    「計算折紙のかたち」

    舘 知宏(東京大学 大学院総合文化研究科 准教授)

    講演概要

    紙は伸びたり縮んだりはしにくく、簡単に曲げたり折ったりできる材料です。紙と同じ性質を持つ材料は人工物でも自然物でも「折り」の現象によって支配されています。「折り」の数理を解き明かし、計算できるようにすれば、平面が自在な立体形状に変化したり、かたくて強い建築構造になったり、宇宙で展開する折り畳み構造物になったり、変形できるロボットになったりもします。芸術・数学・科学・工学の協働により進む最先端の折紙研究を紹介します。

    講演者略歴

    2005年東京大学工学部建築学科卒業。2010年同大学院工学系研究科博士課程修了(博士(工学))。東京大学大学院総合文化研究科助教を経て、2018年より同准教授。2002年より計算を用いた折紙設計を継続し、Origamizer、Freeform Origamiなどのソフトウェアを開発している。専門は、計算折紙、構造形態学、コンピュテーショナル・ファブリケーション。

    参加者への一言

    数学・科学の視点を持って、手を動かして工作し、身の回りの現象を面白がってみましょう。豊かな研究の発想の種が潜んでいます。

  • 石渡 哲哉 写真
    石渡 哲哉 研究テーマ画像

    「どっぷり浸かった10代のころ ~ 研究者の卵になるまで」

    石渡 哲哉(芝浦工業大学 システム理工学部 教授)

    講演概要

    高校生のころ明確に研究者を目指していたか、そのための準備をしていたか、というとそんなことは全くありませんでした。とはいえ、今から振り返ると、部活などに「どっぷり浸かっていた」ことが、その後の研究者人生につながっているなと感じています。講演では、主に高校生のころのそんな様子を振り返りつつ、研究者の卵になるまでのいきさつについてお話ししたいと思います。

    講演者略歴

    1971年生まれ。地元の区立小中学校で育ち、高校は学区制の時代の都立高。
    1990年に早稲田大学理工学部に入学し、そのまま1998年3月に学位取るまで同じところに在籍。ここまでずっと自転車通学圏内。その後、京都に住み龍谷大学でのポスドク、岐阜大学助教授を経て現職。

    参加者への一言

    何でもいいので、とことんまでやってみよう

  • 小磯 深幸 写真
    小磯 深幸 研究テーマ画像

    「シャボン膜の数学と応用」

    小磯 深幸(九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所 教授)

    講演概要

    シャボン膜の数理モデルとして極小曲面と呼ばれる数学概念があります。極小曲面は、面積極小という効率の良い性質があり、曲がり具合いを表す量の一つである平均曲率がどの点でも零であるという幾何的にバランスのとれた特徴があります。そのため、極小曲面は、種々の界面現象や宇宙論におけるブラックホールの記述などに用いられてきました。最近では、航空宇宙や自動車関連部品製作等にも利用されています。このような極小曲面の数学研究と応用をご紹介します。

    講演者略歴

    京都府京田辺市出身。1975年に京都教育大学教育学部附属高等学校卒業。1979年京都大学理学部卒業。1984年大阪大学大学院理学研究科後期課程数学専攻修了。理学博士 (大阪大学)。大阪大学理学部助手から、京都教育大学教育学部助教授から同教授、奈良女子大学理学部教授、九州大学大学院数理学研究院教授を経て、現在は九州大学マス・フォア・インダストリ研究所教授。

    参加者への一言

    私自身は,学生時代はいつも「よく学び,よく遊べ」をモットーに、勉強にも部活・お稽古事・友人との交流などにも常に集中して取り組んで充実した楽しい生活を送ることができ、その後の人生に生かすことができました。皆さんお一人お一人にも楽しんで取り組めることがおありだと嬉しいです。