伊藤 一陽
“音で見る”細胞:高周波超音波が拓く三次元メカノバイオロジー
グラント番号:JPMJAX2531
研究者:伊藤 一陽
東京農工大学
大学院工学研究院
助教
研究概要
三次元細胞培養モデルは体内に近い環境を再現できる重要な研究ツールですが三次元ゆえにその観察は困難です。本プロジェクトでは、医療分野で用いられる超音波を応用し、三次元培養細胞の内部状態を非侵襲かつ染色不要で観察する手法を開発します。エコー信号を解析することで、細胞の増殖、収縮、壊死などの内部動態を非侵襲・ラベルフリーで定量評価し、がん研究や再生医療に活用できる解析基盤の構築を目指します。
今井 渉世
蛍光寿命型バイオセンサーの開発による代謝経路の定量的イメージング
グラント番号:JPMJAX2532
研究者:今井 渉世
東京大学
大学院理学系研究科
大学院生
研究概要
代謝とは、エネルギー産生や生体物質の合成を担う、最も重要な生体機能の一つであり、その異常は癌などの重大な疾患を引き起こします。そこで本研究では、様々な代謝産物に対する「蛍光寿命型バイオセンサー」を開発することで、正確かつ高い時空間解像度での濃度変化の測定を可能にします。代謝の全体像をリアルタイムで可視化する革新的な観察手法の開発により、代謝研究の理解・デザインの両方を発展させることを目指します。
内田 唯
胚サイズに応答し器官サイズを制御する機構の解析と操作
グラント番号:JPMJAX2533
研究者:内田 唯
理化学研究所
生命機能科学研究センター
特別研究員
研究概要
器官サイズは個体サイズに対して適切に制御されますが、その機構は未解明です。本研究は器官サイズ制御の基本原理を解明するため、予備実験において同定されたゼブラフィッシュ胚サイズ応答遺伝子群を基点とし、その上流シグナルとしてのサイズコード機構と下流の増殖制御機構を解析します。さらに挑戦的課題として、解明されたシグナルを操作し器官特異的サイズ制御を行い、生体機能デザインの基盤を提供することを目指します。
江口 晃弘
光学DNAシーケンサービーズが実現するタンパク質機能の大規模評価
グラント番号:JPMJAX2534
研究者:江口 晃弘
東京大学
先端科学技術研究センター
助教
研究概要
アミノ酸配列を入力としてタンパク質機能・活性を出力するAI予測器の実現は、タンパク質機能の理解やその改変のための極めて重要な目標である。しかし現状では、予測器の精度を高める為に必要な大規模実験データが不足しており、その根因は従来の測定技術のスループットの低さにある。本研究では“光学DNAシーケンサービーズ”を開発・応用し、タンパク質の機能を並列かつ大規模に解析可能なシステムを実現する。
近江 純平
単一細胞の脂質代謝と遺伝子発現を同時計測する新技術の開発
グラント番号:JPMJAX2535
研究者:近江 純平
東北大学
大学院薬学研究科
助教
研究概要
リン脂質は細胞を形作る重要な生体分子ですが、近年の脂質測定技術の発展により、1細胞レベルで多様なリン脂質が不均一に分布することが明らかとなっています。脂質研究における目下の課題は、リン脂質組成がどのような細胞状態とリンクするのか、「脂質代謝」を「遺伝子発現」等の他の階層情報と統合的に解析することにあります。本研究では、脂質の量を核酸配列により記述する新技術を開発し、本課題の解決を試みます。
大村 紗登士
異なるクラスに属するCRISPR間における機能的クロストークの解明
グラント番号:JPMJAX2536
研究者:大村 紗登士
東京大学
大学院理学系研究科
助教
研究概要
原核生物のCRISPR-Cas獲得免疫機構は、配列相同性や構成要素の違いからClass IおよびClass IIという二つのクラスに大別されている。本研究課題では、次世代シーケンシング、精製タンパク質を用いた生化学解析、さらにはクライオ電子顕微鏡による単粒子構造解析を駆使することで、異なるクラスのCRISPR間における機能的クロストークの存在を探索し、その生体機能における意義の解明を目指す。
小尾 紀翔
種間比較を交えた前頭前野機能の理解と幻覚剤による機能の再構築
グラント番号:JPMJAX2537
研究者:小尾 紀翔
群馬大学
大学院医学系研究科
助教
研究概要
進化的に最も新しく、ヒトにおいて最も発達した前頭前野の機能を理解し、制御することは、感情などの高次精神機能を解明する上で重要です。本研究では、前頭前野にのみ存在する特殊な層構造に着目し、ヒトと他の哺乳動物の種間比較を通じて前頭前野機能の本質に迫ります。また、得られた知見に基づき、幻覚剤を用いた前頭前野機能の破綻制御手法を確立し、精神疾患に対する革新的な介入戦略の基礎構築を目指します。
小坂 唯心
非標準モノマー翻訳を指向した人工リボソームのデザイン
グラント番号:JPMJAX2538
研究者:小坂 唯心
大阪大学
大学院工学研究科
助教
研究概要
天然リボソームでは翻訳困難な非標準モノマーが多数存在する。もし、これらの非標準モノマーを自在に重合できるリボソームを設計できれば、革新的な新機能材料やバイオ医薬品開発に繋がる。しかし、リボソームは生命の必須因子であり、その改変は難しかった。本研究では、申請者独自の試験管内リボソーム生合成法を応用し、試験管内リボソーム進化系を確立することで、非標準モノマーを自在に重合可能な人工リボソームを創出する。
篠田 夏樹
細胞内酵素学に基づく超非炎症性細胞死のデザイン
グラント番号:JPMJAX2539
研究者:篠田 夏樹
産業技術総合研究所
細胞分子工学研究部門
主任研究員
研究概要
本研究ではアポトーシスという生体機能に着目します。まず、細胞死実行因子カスパーゼによる基質切断反応を細胞内でリアルタイムに計測する方法を構築し、細胞内に固有の酵素反応規則を理解することで、細胞内酵素学を樹立します。さらに、得られた知見に基づき、基質切断特異性を改変したカスパーゼを創出し、形質膜を維持しつつ素早く貪食により除去される「超」非炎症性細胞死ヒドロトーシス(本研究で命名)をデザインします。
関 荘一郎
真核光合成生物の太陽光利用デザインを目指して
グラント番号:JPMJAX253A
研究者:関 荘一郎
大阪大学
蛋白質研究所
特任助教
研究概要
植物や藻類等の真核光合成生物は地球の光合成の大部分を担う。光合成アンテナは太陽光を吸収し、そのエネルギーを反応中心に伝達する色素蛋白質複合体である。その機能をデザインできれば光合成生産量の大幅な増大が期待できる。本研究では植物型アンテナの生体外再構成系を用いてその機能をデザインする。また他の光合成生物でも生体外再構成系を構築することでその研究基盤を他種にも拡げ、将来的な光合成生産量の拡大を目指す。
竹田 穣
革新的顕微鏡法で理解する精子細胞の中心小体ダイナミクス
グラント番号:JPMJAX253B
研究者:竹田 穣
理化学研究所
生命機能科学研究センター
基礎科学特別研究員
研究概要
精子の運動能を司る鞭毛の基底部は、中心小体が精子細胞特異的に構造変化することで形成されます。中心小体は微細で複雑な構造をもつため、従来の光学顕微鏡法では中心小体ダイナミクスの解析が非常に困難でした。そこで本研究では、独自に開発した精子細胞特化型膨張顕微鏡法を基軸とした多角的アプローチにより、精子形成過程における中心小体ダイナミクスの包括的な理解を目指します。
田中 真仁
核の物性変化を介した初期胚発生メカニズムの解明とその応用
グラント番号:JPMJAX253C
研究者:田中 真仁
情報・システム研究機構
国立遺伝学研究所
助教
研究概要
マウス初期胚で見出したオートファジー依存的な核の物性変化と大規模な遺伝子発現制御との関連に着目し、そのトリガーとなる制御の分子機構を解明します。その知見を応用してES細胞核の物性を人為的に操作することで2細胞期様細胞(2CLCs)への誘導を試み、核物性変化を介したES細胞から2CLCsへの状態遷移の原理解明を進めます。これらを通じて核の物性を基盤とした初期胚発生メカニズムの理解と応用を目指します。
戸室 幸太郎
細胞間セントラルドグマの実証
グラント番号:JPMJAX253D
研究者:戸室 幸太郎
東京大学
大学院新領域創成科学研究科
大学院生
研究概要
セントラルドグマは生物学における基本原則であるが、この遺伝子発現の流れは長らく同一細胞内のみで議論されてきた。しかし近年の研究から、細胞間において定常的にmRNAの移動が行われていることが示唆されてきた。本研究では、細胞「間」を移動したmRNAが受け手細胞内で「翻訳」されてタンパク質として機能する可能性とその原理を探究し、生体機能の理解を深化させるとともに、バイオロジーに知的変革をもたらす。
中西 由光
知覚・行動からデザインする末梢免疫応答
グラント番号:JPMJAX253E
研究者:中西 由光
大阪大学
大学院医学系研究科
特任助教
研究概要
末梢免疫応答における脳の機能が近年注目されている。脳は末梢免疫の情報を感知・保持するのみならず、行動の制御に利用するが、脳を介した行動・免疫共役の制御機構は未解明である。本提案では、「脳による行動と免疫応答の協調」に焦点を当て、パブロフ条件付けによる末梢免疫制御を担う扁桃体の神経回路・分子基盤を探索することで、脳に隠された免疫制御機構を明らかにし、末梢免疫応答を知覚・情動からデザインする。
永田 隆平
ピロリン酸依存的なタンパク質リン酸化の機能理解
グラント番号:JPMJAX253F
研究者:永田 隆平
名古屋大学
大学院生命農学研究科
助教
研究概要
多くのタンパク質リン酸化は反応にATPを利用しますが、糖などの代謝では稀にピロリン酸(PPi)を利用する場合があります。本研究では、PPi依存的なタンパク質リン酸化が存在するという仮説に基づき、この反応を触媒するキナーゼの同定を目指します。また、そのキナーゼが生体内でどのようなタンパク質をリン酸化するのかを解明することで、PPi依存的タンパク質リン酸化の生体機能を明らかにすることを目指します。
真島 剛史
3D-DSによるタンパク質多量化の機序解明と応用利用
グラント番号:JPMJAX253G
研究者:真島 剛史
奈良先端科学技術大学院大学
先端科学技術研究科
助教
研究概要
タンパク質の多量化は機能の発現・制御に重要な役割を担いますが、疾患の原因となる場合もあります。本研究では、タンパク質の多量化機構の1つである3D-ドメインスワッピング(3D-DS)に着目し、疾患に関与すると考えられる3D-DS多量化の機序を解明するとともに、医薬品等への応用が期待される人工3D-DS多量化タンパク質の構築手法の確立に取り組みます。
溝端 秀彬
枝鰓亜目における柔軟な細胞内共生現象の理解
グラント番号:JPMJAX253H
研究者:溝端 秀彬
東京大学
大学院農学生命科学研究科
大学院生
研究概要
ミトコンドリアや葉緑体に代表されるように、細胞内共生は革新的な生体機能の創出に繋がると考えられますが、その自在な操作は全く実現されていません。本研究では、ミノウミウシ個体内で観測される2種類の相同な細胞内共生現象に遺伝子発現制御の観点から迫ります。2つの現象で共有される制御ネットワークの同定を通じて、細胞内共生を支える普遍的遺伝基盤を理解し、人為的共生操作への足掛かりとすることを目指します。
武渕 明裕夢
神経細胞サイズに不均一性が生じるメカニズム解明と応用
グラント番号:JPMJAX253I
研究者:武渕 明裕夢
東京農工大学
グローバルイノベーション研究院
特任助教
研究概要
哺乳類の進化に伴い、神経細胞は大型化し、サイズに不均一性が生じています。細胞の大きさは神経活動に影響を与えます。近年、数理モデルにより、神経活動パターンの多様性が高度な情報処理を可能にすることが示されています。本研究では、神経細胞サイズを制御する受容体と細胞外マトリクスを特定し、不均一性が生じるメカニズムを解明します。さらに、不均一性を操作するin vivo実験系を確立し、その重要性を検証します。
桃井 悠作
腸肝循環が生む未知の代謝・免疫学的応答能力の解明
グラント番号:JPMJAX253J
研究者:桃井 悠作
国立がん研究センター
研究所
特任研究員
研究概要
近年、抗腫瘍免疫における腸内細菌叢の役割が注目されています。特に胆道癌では、腸肝循環を介して、腸内細菌叢の特定の種や遺伝子が腫瘍微小環境の代謝環境に影響し、抗腫瘍免疫を制御している可能性が考えられます。しかし、ヒトにおけるその実態は未解明です。本研究では、ヒト胆道癌検体を多層的に解析し、得られた知見を細菌のデザイン(遺伝子改変)とマウスモデルで検証することで、革新的な免疫療法の開発を目指します。
横山 達士
細胞内シグナル可視化技術開発による記憶形成の機序解明
グラント番号:JPMJAX253K
研究者:横山 達士
京都大学
医生物学研究所
特定助教
研究概要
神経細胞はシナプス入力に加え、ステロイドホルモンをはじめとする多様な入力を受けている。本研究では、これらの入力と細胞内における情報処理を統合的に捉えるため、細胞内シグナル動態と遺伝子発現パターンを同時に可視化する新規技術を開発する。この技術を学習課題に取り組むマウスに適用し、記憶形成のメカニズムを解明することを目指す。