JST(理事長 中村 道治)は、台湾行政院国家科学委員会(NSC)注1)と共同で「ナノデバイス」に関する4件の研究交流課題を支援することを決定しました。この支援は、「日本−台湾研究交流」注2)の一環として行われるものです。
支援を決定した課題は次の通りです。
(1)「ナノメカニカル細胞センサー」
(研究代表者:物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 吉川 元起、MANA独立研究者、国立中興大学 生医工程研究所 林 淑萍 助理教授)
本研究交流は、「ナノメカニカル細胞センサー」という新たなセンサーを開発し、ナノレベルの細胞挙動のリアルタイム観測を可能とするものです。
(2)「局所表面プラズモンの飽和効果の探求と超解像顕微法への応用」
(研究代表者:大阪大学 大学院工学研究科 庄司 暁 助教、国立台湾大学 物理学系 朱 士維 准教授)
本研究交流は、プラズモニックナノ粒子が有する新奇な光学特性に基づく超解像顕微技術の開発を目的とするものです。
(3)「バイオメディカル応用を目指したシリコンナノワイヤ電界効果トランジスタのバイオ分子表面修飾」
(研究代表者:奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科 山下 一郎 教授、国立交通大学 生物科学技系 楊 裕雄 教授)
本研究交流は、特別な前処理が不要で、疾病等を実時間で検出/診断する超高感度なシリコンナノワイヤ電界効果トランジスタバイオセンサの実現を目指すものです。
(4)「Nano-CMOS LSI 回路の実現に貢献する先端テスト技術の研究開発」
(研究代表者:九州工業大学大学院 情報工学研究院 温 暁青 教授、国立台湾大学 電機資訊学院 黄 俊郎 准教授)
本研究交流は、半導体集積回路の微細化が数ナノメートルレベルまで進んだ場合に発生しうる従来にないほど複雑な欠陥に対応できる総合的な半導体集積回路テスト技術の研究開発を目的とするものです。
今回の研究交流課題の募集では12件の応募があり、これらの応募課題を日本側および台湾側の外部専門家により評価しました。JSTとNSCはその結果をもとに協議を行い、研究内容の優位性や交流計画の有効性などの観点から、日本と台湾がともに支援すべきと合意した4件を支援課題として決定しました。日本側、台湾側ともに来年1月に支援を開始し、研究期間は支援開始から約3年間を予定しています。