パルスレーザーを発振させるためには、レーザー媒質へ励起光を照射し、共振器内により多くの励起状態を作り出した後、Qスイッチ等で誘導放出を起こすることでレーザーを発生させます。
しかし、レーザーの出力(エネルギー)や繰り返しが高くなればなるほどレーザー媒質の不均一性や結晶界面の不整合による光の損失が生じ、発熱が大きくなります。その結果、レーザー媒質や光学系にダメージが生じ、出力が低下したり、装置が壊れてしまうこともあります。
このため、レーザーの出力を上げる場合には単位密度あたりのエネルギーを低くする必要があり、装置が大型化します。また、高い繰り返しで発振させる場合にも装置が大型化するため、産業界での応用はあまり進んでいません。
さらに、レーザー装置の主要部品であるレーザー媒質(結晶)や励起光源(半導体レーザー)などの多くは、輸入に頼らざるを得ないという問題もあります。
そこで、本プロジェクトでは、レーザー媒質となる結晶や材料を光の波長レベルで制御するマイクロチップレーザー技術を開発するとともに、より高出力のレーザーを発振可能とするセラミックレーザー技術といった日本独自の技術と、レーザー媒質をより高い密度で励起する高出力の半導体レーザー技術を活用し、超小型で高出力な国産のパルスレーザーを開発します。
開発したレーザーはプロジェクト期間中に企業の製造現場などに試適用します。