ユビキタス・パワーレーザーによる安全・安心・長寿社会の実現

技術紹介

PROJECT2 超小型パワーレーザー

パワーレーザーには連続的にレーザーを発振させる連続光と、短時間の間だけ発振するパルス光の2種類があります。連続光のレーザーは溶接や加工など様々な分野で適用されていますがパルス光のレーザーは装置が大型であり、またレーザー光の伝送が難しいなどの問題から普及が進んでいません。そこで、マイクロチップレーザーやセラミックレーザー技術、半導体レーザー(LD)技術等により超小型で、いつでもどこで使えるレーザーを開発します。

既存技術との差異化 従来比で約1/100の体積となる1kg以下のレーザーヘッドを実現するマイクロチップレーザー技術。だれでもどこでも使える300Hzの高繰返しJ級レーザーの装置化を実現するセラミックレーザー技術や半導体レーザー技術

技術概要

パルスレーザーを発振させるためには、レーザー媒質へ励起光を照射し、共振器内により多くの励起状態を作り出した後、Qスイッチ等で誘導放出を起こすることでレーザーを発生させます。
しかし、レーザーの出力(エネルギー)や繰り返しが高くなればなるほどレーザー媒質の不均一性や結晶界面の不整合による光の損失が生じ、発熱が大きくなります。その結果、レーザー媒質や光学系にダメージが生じ、出力が低下したり、装置が壊れてしまうこともあります。
このため、レーザーの出力を上げる場合には単位密度あたりのエネルギーを低くする必要があり、装置が大型化します。また、高い繰り返しで発振させる場合にも装置が大型化するため、産業界での応用はあまり進んでいません。
さらに、レーザー装置の主要部品であるレーザー媒質(結晶)や励起光源(半導体レーザー)などの多くは、輸入に頼らざるを得ないという問題もあります。 そこで、本プロジェクトでは、レーザー媒質となる結晶や材料を光の波長レベルで制御するマイクロチップレーザー技術を開発するとともに、より高出力のレーザーを発振可能とするセラミックレーザー技術といった日本独自の技術と、レーザー媒質をより高い密度で励起する高出力の半導体レーザー技術を活用し、超小型で高出力な国産のパルスレーザーを開発します。

開発したレーザーはプロジェクト期間中に企業の製造現場などに試適用します。

マイクロチップレーザー技術、接合技術 超小型の装置でパルスレーザーの発振が可能
高出力化(数十mJ~100mJ@100Hz)ロボットに搭載可能な超小型の高出力レーザー
セラミックレーザー技術、半導体レーザー(LD)技術 高出力化が可能なセラミック媒質やLDを開発(国産技術)
高出力化で高繰り返し化(数J@300Hz)製造現場などでメンテナンスフリーで使える可搬型の超小型レーザー

PROJECT2F マイクロチップレーザー

数十mJ以上の出力を持つ手のひらサイズのパルスレーザーを開発。
小型・高出力化を妨げている熱レンズ・熱複屈折問題を、熱影響を低減できる接合の技術や結晶の方位制御技術により解決し、装置を小型化する。

詳しくはこちら

PROJECT2G 高出力小型パワーレーザー

300Hzの高繰返しで発振できるJ級の高出力パルスレーザーを開発。
理学機器であり煩雑な調整が必要で不安定な従来の高出力・高繰り返しパワーレーザーをセラミック媒質や半導体レーザー(LD)技術によりいつでもどこでも使えるユーティリティ含め可搬な装置を開発する。

詳しくはこちら