X線自由電子レーザーを発生させるためには、電子を光速近くまで加速するための加速器と、電子を蛇行させてX線を発生させるための磁石列「アンジュレーター」が必要になります。
一般的に電子を加速するための加速器には、内部に高い電場を印加できる加速管が使用されます。高い電場をかければかけるほど電子は速く加速されますが、電場が破壊してしまうため、あまり強い電場をかけられません。そのため、電子を少しずつ加速させていくため、数百m~数kmの加速長さが必要になります。一方、レーザーを用いてプラズマを発生させると、非常に高い電場を作ることが可能になります。そのため、光速近くまで加速するのに必要な距離は数cm以下となり、約1/1000の距離で電子を加速させることが可能になります。
X線自由電子レーザーを発生させるためのアンジュレーターは、幅数十mmの短冊状の磁石を数千~数万個並べて作られています。磁石を一つずつ並べて固定するため、磁石の幅を数mmまで小さくすることはできません。そこで、大長い板状の磁石内にハードディスクのようにNSを着磁させることで、現状では実現不可能な磁石周期を実現することができ、アンジュレーターを約1/10の長さに小型化することが可能になります。
PROJECT 1A、1C〜1Eで開発する各要素技術を統合し、XFEL実証のための技術開発および装置開発を行う拠点を形成。
レーザープラズマ加速の有効性を実証すると共に、他機関の参画も可能な世界初のオープンイノベーションな拠点を構築する。
安定した電子加速を行うために必要となる加速場(プラズマ)や電子ビームの計測と、その制御技術を開発。
発生させるtプラズマや電子の軌跡をリアルタイムで計測し、システムへフィードバックさせることで安定な電子加速を実現する。
電子を加速させるためのプラズマチャネル(素子)およびプラズマを発生させるための電源技術を開発する。
プラズマを高い時間精度・空間精度で発生させ、光速に近い速度で入射した電子をさらに加速する。
各プロジェクトで開発した要素技術を集結しXFELの実証を行うための拠点を統合プラットフォームとして形成します。多くの加速器研究者・ユーザーが集まる理研播磨内の施設で実証を行うことにより、All Japan体制によるXFEL技術の確立を目指します。