
Leuleu Timothee(東京大学 合原研究室)
The dynamics of the classical macroscopic world should derive from the quantum microscopic one. However, the case of chaotic dynamics seems paradoxical, because it is generally argued that closed quantum system cannot exhibit true chaos. Recently, It has been proposed that this discrepancy can be resolved if the effect of measuring the quantum system is taken into account, and that the quantum-classical correspondence is recovered in the limit of strong measurement. Interestingly, it has been shown that chaoticity, measured by the Lyapunov exponents of quantum trajectories conditioned on the measurement, is still suppressed in the weak measurement regime. We propose to use the quantum suppression of chaos for achieving enhanced combinatorial optimization. In order to do this, we introduce quantum artificial neurons that are connected using measurement-feedback. Then, we show that quantum artificial neural networks (QANN) can be notably used for solving k-sat problems, by mapping satisfiable and unsatisfiable solutions to fixed point and chaotic attractors, respectively. In the weak-measurement regime, we show that the suppression of chaos due to quantum dynamics results in an increase of the probability to solve random k-sat problems that scales well with problem size.
玉手 修平 (国立情報学研究所)
NIIでは、連続値をもつ最適化問題への適応を目指して、非縮退OPOをもちいた古典XYモデルシミュレータ(XYマシン)の開発を行っている。
本発表では、非縮退OPOをもちいたコヒーレントXYマシンの開発状況とXYマシンの応用可能性について議論する。
本庄 利守(NTT物性科学基礎研究所)
NTTで進めている19インチラックマウントタイプの可搬型コヒーレントイジングマシンの開発計画および次世代のFPGAフィードバック回路の検討状況について報告する.
神山 恭平 (東京大学 合原研究室)
CIMのシミュレーションにおいて、DOPOの振幅をその3乗で置換した場合に、Max-Cut問題に対して非常に高い解探索性能を見せることを確認したため報告する。 また、シミュレーションにおいてファイバーによる連続的なシグナルの減衰とミラーによる離散的な減衰を同一に扱うべきでなく、ミラーの性質は既知であるため、FPGAにおけるフィードバック時にミラー減衰分を補てんすることにより、ポンプレートに対する振幅の強さがミラーによらず調節可能になることを説明する。
緒方 浩二(理化学研究所)
近蛋白質と化合物の複合体構造を観察すると、類似した化合物は同じような結合様式で標的蛋白質に結合するという傾向がある。この傾向を利用して以前我々は、化合物の原子の座標(ジオメトリ)を変えずに原子種を変えることにより新たな化合物を見つけ出す方法の提案を行った。この方法は、ジオメトリに当てはまる原子種の可能な組合せによる膨大な数の化合物の中から蛋白質と強い相互作用を持つものを選択していることから、高活性でかつ物理化学的な性質が異なる骨格を持つ化合物を見出すことが期待される。この方法を実際の蛋白質の機能を阻害する化合物の探索に用いたところ、ジオメトリを使用した元の化合物より活性は少し落ちるが、標的の蛋白質の機能を阻害する化合物を得ることが出来た。
本発表においては、その方法について詳しく説明を行い、本方法を量子コンピュータで実行するための導入部分に関して発表を行う。
Ogata, K., et al., QSAR and Comb. Sci., 26, 596-607, 2007.
Ogata K., et al., Molecules, 15, 4382-4400, 2010.
坂口 潤将(東京大学/NII)
コヒーレントイジングマシンの実用的な応用として、創薬へ向けた標的タンパク質に対する 低分子化合物の最適化手法を検討している。標的タンパク質の3次元構造に対して活性な化合物構造が 与えられたとき、各サイトにおける原子種の最適化を行う。 本発表ではイジングハミルトニアンへのマッピング及び数値シミュレーションによるベンチマークの現状を述べる。
玉手 修平(NII)
連続量の最適化問題の実装やボルツマンサンプリングの実現に向けて、NIIの実験グループではレーザーネットワークを用いたXYモデルのシミュレータ(コヒーレントXYマシン)の開発を行っている。
本発表では、コヒーレントXYマシンの動作原理とモード同期ファイバーレーザーを用いた1次元XY模型のシミュレーションに関する実験結果について発表する。
大関 真之(京都大学)
近年隆盛を極める機械学習、その中で行われている計算手法は、連続値の最適化問題とサンプリングである。
さらに信号処理や画像処理の分野では、情報の計測限界を超えるために、取得した情報に事前情報を利用した推定を導入することで、見えなかったものが見えるようになる技術が登場しており、スパースモデリングと呼ばれ注目を集めている。
どちらも計算機の性能向上と、アルゴリズムの開発により高度なものに成長を遂げており、
応用段階に発展しているため、様々な成果を聞くようになった。
その応用研究が進むにつれて、同時により高度で高速な計算の必要は絶えず叫ばれている.
次なる10年を見据えると、ハードウェアの変革と計算スキームの変更を用意する段階に来ているとも言える。
これまでの計算機に合うように発展してきた方法論を紹介して、どんな最適化問題やサンプリングが必要であり、どこで諦めてきたのかを紹介することで、今後の研究の方向性を議論したい。
稲垣 卓弘(NTT物性科学基礎研究所)
縮退光パラメトリック発振器(DOPO)を用いたコヒーレントイジングマシンで複雑なグラフ問題を解くためには、多数のDOPO間に任意の相互光結合を実装する必要がある。これまで、NTTでは長距離ファイバリング共振器中で10,000を超える数のDOPOの一括発生に成功している[1]。この多数のDOPO群に対して、NII・大阪大学と共同で開発したFPGA回路を用いた測定フィードバック法による疑似的な相互光結合を導入することで、2048ノードの完全グラフを解くことが可能なコヒーレントイジングマシンの実現を目指している。本発表では、NTTにおける大規模コヒーレントイジングマシン開発の現状について紹介する。
[1] T. Inagaki, K. Inaba, R. Hamerly, K. Inoue, Y. Yamamoto, and H. Takesue, "Large-scale Ising spin network based on degenerate optical parametric oscillators", Nature Photonics (2016) doi:10.1038/nphoton.2016.68
河野 崇 (東京大学)
高度な自律的情報処理を行う脳神経系は低速な素子である神経細胞を超並列結合したネットワークである。近年のトランジスタの動作速度向上の鈍化や低電力化の要請などによって情報処理システムの進化もまた超並列化へと向かっており、神経ネットワークの電気的活動をリアルタイム以上の速度で再現する電子回路システムであるシリコン神経ネットワークが次世代情報処理システムの候補として注目を集め始めている。IBMのTrueNorthチップなどの最近のシリコン神経ネットワークについて簡単に紹介した後、当研究室で開発した、定性的神経モデリングの数理的手法によって実現した低電力アナログシリコン神経ネットワークシステムとデジタルシリコン神経ネットワークシステムを紹介する。
Leleu Timothée(The University of Tokyo)
In the field of neuromorphic engineering, there is very active research about the implementation of spiking neural networks using silicon-based electronics. We investigate the possibility of simulating spiking neural networks using laser systems. Dynamical systems and bifurcation theory show that the Degenerate Optical Parametric Oscillators (DOPO) can simulate the dynamics of Fitzhugh-Nagumo spiking neurons. The activity of coupled photonic spiking neural networks are numerically simulated and the speed of the simulation is evaluated. Furthermore, we discuss possible experimental implementations of such models based on the Coherent Ising Machine and survey the engineering applications of the photonic spiking neural networks.
奥 牧人 (東京大学)
イジングモデルの基底状態を求める問題は一部の特殊な場合を除きNP困難であることが知られている。近年、イジングモデルの基底状態を効率的に求めるための専用の物理装置のアイデアが複数提案され、広く注目を集めている。それに伴い、様々な実装上の制約下において、解きたい組み合わせ最適化問題からイジングモデルへの効率的なマッピングを見つけることが重要な課題となってきている。本発表では、文献[1]で紹介されている多数の例の中から、結合重みが{-1, 0, 1}の3値のみに限定された全結合イジングモデルに効率的にマッピング可能で、かつ応用上も重要な頂点彩色問題と最大クリーク問題の2つを取り上げ、具体的なマッピング法、応用事例などについて説明する。
[1] A. Lucas: "Ising formulations of many NP problems,"Front. Physics, 2:5 (2014).
長谷川 幹雄(東京理科大学)
Hopfield-Tank Neural Networkは,様々な組合せ最適化問題に応用することが可能である.本発表では,いくつかの組合せ最適化問題への応用例を紹介する.さらに,それらの手法をCoherent Ising Machine上で動作させることによって,短時間で良好な解を見つける方法について述べる.
田村 泰孝 ((株)富士通研究所)
過去50年に渡りSi集積回路の性能向上を支えてきたのは素子の縮小 --スケーリング-- であった。しかしその効果は2000年頃に一定電界スケーリングが終焉すると減少し、スケーリング自体もあと5年程度でほぼ停止する見込みである。本発表ではスケーリングを巡る様々な性能限界要因を紹介し、スケーリング終了後の性能向上策、今後のハードウェア向け基礎研究の方向性について述べる。
齋藤 靖夫(日本電気通信システム(株))
開発中のコヒーレントイジングマシンでは、パラメトリック発振器内のパルス列をホモダイン検波し、そのパルス列を相互に結合させた結果をフィードバックさせる。これを実現するために今回開発したフィードバック回路用FPGAにおける各機能の処理を説明する。また、性能向上に向けた取り組みとして、結合サイズの拡張および結合係数の連続値化のための手法と課題について述べる。
後藤 隼人(東芝研究開発センター フロンティアリサーチラボラトリー)
発表者は最近、組み合わせ最適化問題を高速に解くことを目的として、非線形振動子のネットワークを用いた新型の断熱量子計算を提案した。本発表では、この新型量子計算の原理やシミュレーションの結果に加え、この提案に至るまでの背景、量子アニーリングとコヒーレントイジングマシンとの比較についても述べる。
丸尾 大貴(国立情報学研究所)
コヒーレントイジングマシンの量子論的模型として、高田らが提案した縮退光パラメトリック発振器ネットワーク模型に関して行った解析の結果を述べる[1]。
まず、おもに我々が全量子論的解析と呼称しているフレームワークの説明を行い、高田らの結果を簡単にレビューする。その後、今回我々が用いたTruncated Wigner関数法によって高田らの模型を解析した結果を中心に説明する。
具体的には、
(1)Truncated Wigner関数法を用いることによって得られた確率微分方程式が、各縮退光パラメトリック発振器の複素電場のダイナミクスとして解釈可能であること
(2)先行研究で報告されていた、系に存在する量子エンタングルメントの起源が、光結合路の真空場揺らぎであることを説明する。
その後、光結合路の真空場揺らぎをスクイーズすることによって、先行研究で報告されていなかった量子相関を実現することができ、それに付随して量子エンタングルメントが増強されたことを報告する。
[1]Quantum correlation in degenerate optical parametric oscillators with mutual injections/Kenta Takata, Alireza Marandi and
Yoshihisa Yamamoto/Phys. Rev. A 92, 043821
武居弘樹(NTT)
コヒーレントイジングマシンによる大規模な最適化計算の実現には、スピ ン数の増大が必須である。本発表では、縮退パラメトリック発振器をスピンとして用いたコヒーレントイジングマシンのスピン数増大に向けた取り組みについて 述べる。
垣村 尚徳(東京大学)
最大カット問題を始めとする組合せ最適化問題はコヒーレントイジングマシンのベンチマークとしても用いられるなど,本プロジェクトとも関わりが深い。本講演では、組合せ最適化分野における基本的な考え方や既存の重要な結果を、最大カット問題とそれに関連する問題を中心に紹介する。
山岡雅直(日立製作所 中央研究所)
近い将来、組合せ最適化問題を解き技術はシステム最適化には必須技術となると考えられる。組合せ最適化問題を効率よく解く手法として、イジングモデルを用いたCMOSイジング計算機を提案し、20kスピンを含んだCMOSイジングチップを65nmプロセスで試作した。イジングチップでは、組合せ最適化問題を磁性体のスピンの挙動を表すイジングモデルに写像しその収束動作により問題を解く。収束動作はCMOS回路により実現した。試作チップにより、100MHz動作が可能で実際に組合せ最適化問題が解けることを確認するとともに、従来のノイマン型計算機を用いた場合に比べて1800倍の電力効率で問題を解けることを確認した。
井上正樹(慶應義塾大学 理工学部)
講演では主にロバスト制御理論と分岐理論の二つの理論について、概略と分野での考え方を紹介したい。そして、発表者らが近年開発したロバスト分岐理論を概説し、コヒーレントイジングマシンの理論検討をおこなう。コヒーレントイジングマシンを表現する微分方程式系で生じる分岐現象を解析し、今後の課題について検討する。
大輪拓也(国立情報学研究所)
最適化問題をイジングモデルに変換しSimulated Annealing(SA)で最適解を得る事を考える。これを計算機などで実装する際、ハードウェアの制約やアルゴリズムの効率性などの課題がある。課題 の一つに、SAのアルゴリズム内で使われるループに対する適切な回数の決定があり、これは数学的にはマルコフ連鎖のmixing timeの評価に対応する。一方、mixing timeのcut-offと呼ばれる相転移のような現象があり、SAに関しcut-off現象の詳細な解析ができれば実装と数学の両方への貢献が期待でき る。本講演では、SAに関する課題とcut-off現象に関する研究の紹介をする。
玉手修平(国立情報学研究所)
レーザー系を用いたアナログシュミレーションの方法として、相互注入レーザーネットワークを用いたスピンXYモデルのシュミレーション手法について紹介する。光パラメトリック発振が2値的な発振位相を有するのとは異なり、通常のレーザーは連続的な発振位相を有するため、相互注入を行うことで、連続値の位相をもつスピンモデルであるスピンXYモデルを実装することができる。本発表では、レーザーネットワークとスピンXYモデルの対応関係を用いて、スピンXYモデルの基底状態探索を行う手法について説明する。また、イジング型の最適化問題をXYモデルの最適化問題に緩和することで、レーザーネットワークを用いて組み合わせ最適化問題の近似解を得る手法と、そのベンチマーク結果についても報告する。
Leleu Timothée(The University of Tokyo)
There has been growing interest in solving optimization problems using methods inspired from physics. Contrarily to Simulated Annealing, that converges to the most stable state by slowly lowering the temperature of the system, another method, called Hysteretic Optimization (HO), finds the ground state using slowly varying random external field at zero temperature. We propose that the latter is well-fitted to be implemented using the Coherent Ising Machine (CIM). We illustrate the efficiency of the method by finding the ground state of Ising spin glasses such as that of the Sherrington-Kirkpatrick model. Such problems are NP-hard. Moreover, we show that the destabilization of metastable states by the random external fields induces cascades, or avalanches, of transitions between the states of the Coherent Ising Machine that are reminiscent of the Barkhausen noise observed in magnets. The properties of these cascades are studied in order to generalize the applicability of Hysteretic Optimization to various combinatorial problems.