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このImPACTプロジェクトで何が得られたか。

原田: 概要のところでお話しさせていただいたと思いますけれども、まずは、超ビッグデータプラットフォームというプラットフォームが完成したというところです。先ほど喜連川先生のご講演でもありましたように、大体400万回スレッドで処理できるデータベースができあがりました。またそれをサポートすることができる情報を収集するネットワークもできあがりました。これは数十キロにわたるデータエリアから数千万、1件当たり数百MBytes/dayぐらいのものが、数百件収集できるようなシステムです。それを用いてヘルスとファクトリ応用可能なシステムができあがったというところです。
まず、ヘルスのほうは時系列化がいろいろできたというところです。国の医療データ、あとは地方の医療データ。あとは病院間の医療データ。あと個人の医療データ。この4つに関しての時系列化を行なうことが実際にできました。できた結果、どういうことが分かったのかということに関して言いますと、まずは個人レベルでのある程度のリスク予測ができました。そのあと、病院の中におけるリスク管理というのもでき始めました。あとは地方自治体における医療関連のリスクもだんだん分かるようになりました。そして国レベル。今度は、今後日本がどうなっていくかという社会レベルでのリスクもだんだん分かるようになってきました。それも、いわゆる個人のデータ、要するにミクロのデータの積み上げによってマクロが構成されたというところがヘルスの成果になっていると思います。あと、ファクトリのほうは、ビッグデータのプラットフォームがあったときに、どういうフレームワークで構成していけばいいのかということで、セキュリティをベースにした工場内でのフレームワークが、できあがったというところです。そのフレームワークから、今後データベースに対してこれだけの要求条件がある。通信に対してこれぐらいの要求条件があるというところが明確化されたというのが、成果になっていると思います。以上です。
河井: ありがとうございます。そういう意味で言うと、技術的なところのある程度の実証ができましたと。目指しているところの全部ではないと思うのですけれど、こういったところがある意味、例として具体的にこうできることが分かりましたという、それを確認できましたという理解でよろしいですか。
原田: はい。基本はそのとおりです。実はその裏には、今から議論になると思うのですが、politicalのどろどろしたところはあったのですが、その中をなんとかかいくぐって、なんとか技術的にはちゃんとある程度のレベルのところまでできたというところが成果だと思っています。
河井: ありがとうございます。喜連川先生のずっとやっていらした研究という意味で言うと、技術的にいろんなことができるってことが分かってたと思うのですけれど、このImPACTに入って一緒にプロジェクトを動かしたことで、これが成果として出たということは、なにかあるものでしょうか。
喜連川: 先ほど、永井先生プロジェクトの方々から非常にいろいろなご発表があったわけですが、その多くの方々が我々のIT基盤を実際にお使いいただきまして。つまり、僕らがやってきたのが唯我独尊ということもないですけれど、勝手なテクノロジーを作ったわけじゃなくて、いろいろ丁寧な会話をする中で、ご必要なものをかなり丁寧に作りあげていったのです。ですから、共同で作った作品というものがいくつかできてきたということが、私どもとしては大きな成果と言えると勝手に思っておりますし、それも非常に貴重な体験をさせていただくことが、このImPACTでできたかなと思っております。
河井: はい、分かりました。それが次に多分、また違うものにつながっていくということですよね。少し聞き方を変えます。永井先生、ImPACTの今回のプロジェクトは、なかったら、どうなっていたかなというようなことなのですけれど?
永井: 今朝もある会議でいかにデータをつなぐかとか、どう活用するかと議論をしていました。その会議では、診療データが病院間で全くつながっていないと力説された方がおられましたけれども、今回の仕事はまさにそこを実現したのです。まだ完成度は高くないのですが、これから大きく発展すると思います。
河井: ありがとうございます。米田さん、いかがですか。
米田: 今回のこのプロジェクトがなければ、本当に今回出したようなこういう研究というのはできてなくて、実は今、こういう未来の工場がどうなるかというのをベースにした議論というのは、国際間での議論というのはすごい多いのです。私たちの工場って現場主義なので、5年後、10年後にどうなるかというのを想定して海外の人々と議論するというのはなかなか苦手な面がありまして、今回そういう意味では非常に大きな玉を持てたと思います。
河井: そういう意味だとスタートラインに立てたというか、みたいなイメージですかね?
米田: IIC (Industrial Internet Consortium)とかインダストリー4.0でもとここまでクリアな、ある程度そうなりそうなものというのを具体的にイメージした議論がないのです。こういう話題を提供すると、なるほどね、よく考えてるねって話を聞いてもらえます。
河井: ありがとうございます。それで、いいモデルができたとか、スタートラインに立てたみたいなお話をいただいたのです。実際に今、このImPACTのプロジェクトだけではなくて、今の社会の中でどこまでいっているのかとか、それがどっちの方向に向かっているのかは、おそらくImPACTのこのプロジェクトとずれてるということはないと思うのですけれど、そこが実際どのぐらいの距離感があるのかみたいなことをちょっと知りたいなと思うのです。そういう意味で、BP社の編集長2人に来ていただいているので、まず、ものづくりのほうから今現状はこんなふうになってますというところを話していただこうと思います。山田さん、お願いします。