科学技術の視点、人文・社会科学の視点の両方から社会課題を捉える―
多様なステークホルダーと協働する魅力があります。

社会技術研究開発センター(RISTEX)企画運営室
室長

津田博司

1992年入職
法学部 経営法学科修了

PERSON JSTの人

01 出向先で、意思決定などのプロセスを実感

 「一体ここはどんなことをしている組織なのだろう?」と好奇心に導かれるようにJSTに入職。国際交流促進室を皮切りに、科学技術庁への出向、開発業務部、戦略的創造事業本部、企業化開発事業本部、産学連携本部、国際室パリ事務所、研究開発戦略センターなど、さまざまな事業に携わってきました。
 JSTでのキャリアはすべて私の血肉となっていますが、中でも大きな影響を受けたのが入職後5年目に科学技術庁(現・文部科学省)に2年間出向し、国際共同研究の支援に携わった経験です。国の行政組織の中でどのようなプロセスで意思決定がなされ、どのように政策が動いていくのか、当事者として知ることができ、それ以降、出向先での経験を意識しながら、仕事を進めるようになりました。

02 科学技術と人文・社会科学、社会との接点で社会課題に向き合う

 現在私が所属するのは社会技術研究開発センター(RISTEX)。 社会課題の解決を目指した研究開発の支援と、それに関連する調査活動、成果の展開などを手がけます。JSTの中では 、人文・社会科学との親和性が高いことが大きな特徴です。今日の社会では、 AIやロボット、自動運転、バイオ技術、防災、高齢社会などに代表されるように、倫理面も含む社会への影響、社会システムへの適用、さらには人々の意識や行動との関係など、あらゆる視点をふまえて科学技術を考えなくてはならない分野が増えています。一方で、社会課題の解決に科学技術が貢献することが求められており、代表的な例が「SDGs(持続可能な開発目標)」です。ですから日本に限らず、世界的に政策的なニーズが高まっています。
 社会課題に対するソリューションの構築は、様々な知識の集約とローカルな実践から始まり、より広い範囲にも適用できるようにしていくプロセスなので、JSTのこれまでの蓄積やネットワークを活かし、貢献できることは多いと感じています。
 RISTEXの事業では、人文・社会科学と自然科学の分野を越えた連携を促し、多様なステークホルダーと協働しなくてはなりません。苦労はありますが、そこに魅力も感じます。

03 常に変化し、新しい発想で仕事をすることが大切

 これまでRISTEXの事業は、センター内で完結することも多かったのですが、科学技術の倫理的・法的・社会的課題(ELSI)への対応に関しては他部署との連携にも力を入れています。
 私自身が仕事をするうえで心がけていることは「真の目的は何か」です。仕事に慣れてくると物事の本質が忘れられがちになるので、常に、その仕事の本来の目的を思い出すように心がけています。
 私は部長の立場ですが、部下である職員には、その自発性を尊重し、自由に仕事をしてほしいと思っています。科学技術の世界は常に変わり続けていますから、それに関わる私たちも柔軟に考え、新しいアイデアを取り入れ、発信していかないと生き残れません。
 どんな仕事でもそうですが、最終的には人と人との関係性が重要となります。これからの社会を背負って立つ若手には、「破綻しないサービス精神」を持ってもらいたいですね。サービス精神は大切ですが、そればかりになって本来の目的を実現できないのでは意味がありません。良い人間関係を築きつつ、自分をしっかり持ち、内省的かつ意欲的に仕事に取り組んでほしいと思います。

1日のスケジュール

1992年4月 国際交流促進室
1996年6月 科学技術庁国際課
1998年6月 開発業務部 業務課
2001年9月 戦略的創造事業本部 研究調整室
2003年10月 総務部 人事課
2004年 4月 企業化開発事業本部 技術展開部 権利化推進課
2005年10月 国際室パリ事務所
2008年 7月 研究開発戦略センター
2010年10月 イノベーション推進本部 イノベーション企画調整部
2011年 2月 社会技術研究開発センター 企画運営室
※所属部署および掲載内容は取材当時のものです
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