科学技術と一般社会をつなぎ、認識の違いをなくしていきたい。

日本科学未来館
経営企画室 主査

鈴木 峻

人文社会科学研究科(総合文化研究専攻)修了
2018年入職

PERSON JSTの人

01 科学技術と社会とのギャップ解消を目指し、JSTへ

 JSTを志望したのは、学生時代に研究に取り組んでいるときに感じたことが大きく影響しています。研究者は自分の研究のおもしろさや価値を理解していますが、一般の人たちが研究者と同じように理解しているわけではありません。特に基礎研究の場合は、「その研究が何のためになるのか」が広く理解されていないことが多いと思います。また、例えば大災害が起こったとき、研究者が意見を断定的に言わないと、一般市民は不満を感じたりします。しかし科学的知見とはそもそも断定できないものです。そうした認識のギャップにも、もどかしさを感じていました。
 このようなギャップを埋める方法として科学と一般社会をつなぐことに興味を持ち、JSTに入職しました。
 最初の配属は契約部研究契約室でした。JSTのファンディング事業では、採択された大学や企業などの研究機関への支援を行っていますが、事務的な手続きとしては委託研究契約というものを交わすことになります。その事前調査、契約先機関や社内関係部署との調整、契約書の発行、契約締結以降の契約先機関のフォローなどに携わりました。
 その後、2020年7月から、日本科学未来館の経営企画室に配属となりました。

02 科学技術と社会をつなぐ、科学コミュニケーションの場

 日本科学未来館はJSTの一部門ですが、一般来館者を対象にする施設という点で、他部署とは異なる独自性があります。
 日本科学未来館は、収蔵品を持つ、旧来型の“博物館”ではありません。科学や技術と一般社会(来館者)をつなぎ、情報を双方向に伝えるコミュニケーションの場です。その象徴的な存在が、対話やイベントなどを通じて一般の方にわかりやすく科学技術を伝え、未来のあり方を一緒に考える「科学コミュニケーター」です。こうした「コミュニケーション」を専門とするスタッフがいる一般向け施設は、2001年の設立当時、国内外のミュージアムでも非常に珍しい施設だったと思います。
 私はもともと一般社会と科学技術とをスムーズにつなぎ、認識のギャップを無くしたいと考えてJSTを志望したので、それが叶えられる部署に来たという思いがあります。
 仕事は、経営企画室の企画調整担当として、事業の計画、進捗、予算執行などの管理、次年度に向けた政府予算の要求、視察などで国内外から来訪するVIP対応など。館全体の運営のための調整や管理をしているので、広い視野を持つ必要性を痛感しています。日本科学未来館という組織全体の動きを把握し、管理できること、さらにそれが活動や成果として目に見えるところが大きなやりがいです。

03 新しい発想や多様な知見を吸収し、運営に活かす

 日本科学未来館の働く場としての魅力の一つは、職員のバックグラウンドが多彩なこと。教員職だった方、美術館などの展示やキュレーションに携わっていた方、科学分野の雑誌やメディアにいた方などがいます。私がこれまで知らなかったさまざまな知見が集積した組織でもあるわけで、それを日々学びながら勤務しています。
 今年2020年は新型コロナウイルスのため一時的に休館期間を設けたこともあり、今はいかに従来の運営状態へ回復するかが目下の課題です。一方、リアルな来館が困難になる中で、従来になかった発想も必要だと思います。イベントやトークセッションをインターネットで公開する、実証実験をリアルな場だけでなくオンライン上でも見せるといったことですね。
 今後のミッションは館内外にさまざまな接点を持つ経営企画室の強みを活かし、関係する部署の知見を吸収していくことです。そのために、他の部署の活動、社外の動向などにも敏感にアンテナを伸ばすことを意識しつつ、仕事に取り組んでいきたいと思っています。

9:30 メールチェック。対応案件の整理や急ぎ案件の処理
11:00 館内で打ち合わせ(事業進捗確認・報告)
12:00 昼食
13:00 資料作成
15:00 文科省で打ち合わせ
17:00 館内の他課室や文部科学省などからの問い合わせ対応
18:00 退社
※所属部署および掲載内容は取材当時のものです
PAGE TOP