研究者の先生方とのコミュニケーションを大切にしながらプロジェクトを推進しています。

研究プロジェクト推進部
ICT/ライフイノベーショングループ
係員

佐竹航平

農学部生命科学科卒業
2020年入職


PERSON JSTの人

01 知らない分野に取り組み、研究を支援する喜び

 大学では農学部で学び、酵母が発現するタンパク質の検出手法などの研究に取り組んでいました。就職先としては製薬や食品関連企業が一般に考えられますが、自分の中では、そこには踏み切れない思いがありました。私は研究すること以上に、他の人の研究について話を聞いたり、話したりすることが好きだったからです。幅広く科学に関わり、かつ個々の分野については一定の深さを持って携われる仕事はないだろうか。そんなことを思っていたとき、就職イベントでJSTを知り、その仕事のおもしろさに惹かれました。
 JSTには多数の部署があり、一つの方法論や分野に限定されることなく、多様なフェーズで幅広く研究者の研究活動を支えています。部署異動を通して多様な支援事業に従事できるということもあり、自分の志向と合っていると感じました。研究者を大学院生の時から支援できるなど、新しい科学研究やその成果が生まれる過程に関われることも大きな魅力でした。
 JSTに入った2020年4月はコロナ禍の真只中でしたが、テレワークの状況下でもマンツーマンで丁寧に指導してくださるメンターや、先輩の方々、上司に助けられ、孤立した思いをせずに仕事に慣れていくことができました。その中で、JSTの研究支援とは、資金だけではない総合的なものであること、研究と社会の架け橋になれることを強く感じました。例えば研究者が書いたプレスリリースや研究計画書を、その分野になじみのない方でも本質的なところまで理解できる内容かどうかを確認して、的確な改善案を出すといったこともJSTの役割の一つです。

02 ERATOは人に焦点を当てたプロジェクト

 入職以来、携わってきたのが戦略的創造研究推進事業のひとつである「ERATO」の運営です。これは1981年に発足した事業が前身で、JSTの数あるプログラムの中でも長い歴史を持ちます。1プロジェクトあたりの予算は上限12億円、期間は5年半におよびます。
 ERATOの大きな特色は、採択のときに公募制ではなく、JSTの方から候補者にアプローチをすること、そして人(研究者個人)に焦点を当てていること。JSTが有識者の先生と協同して「この人なら」と思う研究者に提案していただけるように依頼し、その中から選ぶ方法をとっています。プログラムにふさわしい研究実施者を選ぶためには、研究推進の責任者となっていただく「研究総括」に誰を選ぶか、が鍵になります。研究総括を決める際の大きな軸は、「革新的な研究を進め、新しい潮流を作っていける人」、「優秀な研究者が集まる核となれる人」で、JST事務局による調査活動から始め、プログラムの推進にご協力いただいている有識者先生方で人選をします。論文数など客観的な指標も大切ですが、数字には表れにくい独創性、革新性、人望、人脈、若手への指導力、研究への情熱なども評価します。ここは非常に苦労するところで、多角的な視点が必要になります。
 現在、私がメインで担当しているのは、自分のバックグラウンドとは異なる分野の2つのプロジェクトです。どちらもまったく未知の世界で、最初は不安もありましたが、入職3年目に入る頃から、先生方と研究についてより深い会話が交わせるようになり、充実した日々を送っています。研究プロジェクト全員が集まる会議の最後に、私がJSTを代表した短い挨拶を任されたときは、自分が研究プロジェクトの一員という充実感を持つことができ、嬉しかったですね。

03 将来の中高生の支援も視野に

 今のやりがいは大きく二つあります。一つは研究プロジェクトが滞りなく進捗すること。もう一つは人間関係を作っていくことで、研究統括の先生はもちろん、プロジェクトに関わる若手の研究者の皆さんも含めて、人を理解し、コミュニケーションを深めることに喜びがあります。
 今後、多くの研究者についてさらに知っていくことで、自分の頭の中に研究者のデータベースのようなものができればと思っています。それは将来、研究者同士の組み合わせ、異分野の組み合わせなどを考えるとき役立つのではないかと期待しています。
 さらに、大学の研究者以外の企業の研究者、社会科学の研究者の考え方も知りたいですね。それは例えば、人文社会学と科学の融合などを考えるときに役立つと思います。長期的には中学生、高校生向けの人材育成事業などにも関心があります。彼らこそ10年後、20年後の研究の次世代の担い手ですから、早い時期から支援に携わることができればと思っています。

9:30 出社、メールチェック
10:30 選考業務に関する部内打ち合わせ
12:00 昼食
13:00 前の打ち合わせを受けて選考業務に関する資料アップデート
13:30 インタビュー準備
14:00 有識者の先生にインタビュー
15:30 簡易インタビューメモの作成
16:00 進行中の研究プロジェクトの研究計画書を確認
18:30 終業
※所属部署および掲載内容は取材当時のものです
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