若手研究者の海外でのネットワーク強化を支援し、日本の研究開発力の向上につなげたい

国際部 先端国際共同研究推進室
ASPIREグループ 主査

橋本志帆

エネルギー科学研究科エネルギー応用科学専攻
2021年入職

PERSON JSTの人

01 自身の「理系×海外」という強みを活かす

 新卒で入社した国内のあるメーカーで製品開発を担当していた際、海外の方々と一緒に仕事をする機会が多く、それがとても新鮮で面白く感じました。その経験がきっかけで、海外で仕事がしてみたいと考えるようになり、タイの人材紹介会社に転職し、現地で業務に携わっていました。ところがコロナ禍の影響で帰国を決意。日本で就職活動をする際に、「理系×海外」という自分の強みが活かせる転職先を探し、出会ったのがJSTでした。JSTの事業でとくに関心を持ったのは、国際部が先進国だけでなく、開発途上国が抱える問題を解決するための国際共同研究なども支援していたこと。ちょうど私が住んでいたタイで、日々自分自身が問題だと感じていた、水災害のリスクを低減するための研究を支援していることを知り、グローバルでかつ人々の身近な課題解決にも貢献していることに魅力を感じ、JSTへの入職を決めました。国際部を希望した理由には、異なる文化やバックグラウンドをもつ、さまざまな国の方と働いてみたいという思いもありました。希望通りに配属された部署で担当することになったのが、新規事業の「ASPIRE(先端国際共同研究推進事業)」(2023年度開始)です。そのトライアル公募の段階から、事業の立ち上げに携わることになりました。

02 事業の立ち上げを責任を持ってやり遂げる

 いま日本の基礎研究力は低下していると言われており、その原因の1つとして日本の研究者の存在感が希薄になり、技術の最先端から取り残されつつあることが挙げられます。そこで、将来のトップ研究者として活躍が期待される日本の若手研究者に海外に渡航してネットワークを広げてもらい、最先端の情報交換が行われるような世界のトップサークルに入ってもらうことがASPIREの目的です。1課題あたり年間最大1億円(間接経費込み)×5年間と大きな予算をもって、研究そのものよりも、若手研究者の海外でのネットワーキングや、それによる研究者としての成長を支援することなどを重視している点が、これまでのJSTにおける国際事業とは大きく異なります。事業立ち上げにあたっては、各研究領域のトップ研究者にヒアリングを実施し、どうすれば使いやすい制度になるか、成果を最大化できるのかを念頭に、新しい視点をもって一から制度設計をしていきました。その際に感じたのは、JSTの社風が想像以上に自由度が高いことでした。重要な新規事業の立ち上げを、転職してきたばかりの若手に任せてくれる。しかも、進めて行く中では、部長をはじめとした周りの方々から部分部分で軌道修正を受けながらも、自身の考えやアイデアをもって進めることができました。初めての業務なので試行錯誤をしながら進める場面も多く、ときには難しさを感じましたが、それ以上のやりがいを感じながらASPIRE事業の立ち上げに取り組んできました。

03 海外で研究する楽しさを味わってほしい

 仕事で大切にしていることは、業務をルーティンワークとして終わらせないこと。例えば公募業務では、前回の公募のプロセスや結果をしっかりと振り返って常に改善に取り組むようにしており、ASPIRE事業でも、前進となる最初のトライアル公募(AdCORP)段階で浮かび上がった問題点を改善しながら、これまで数回にわたって改善を繰り返しつつ公募を実施してきました。既におよそ100弱の課題が採択されて、その中で若手研究者が海外での研究をスタートさせています。日本と海外では、研究室の雰囲気や研究スタイルも大きく違い、改めて研究の楽しさを実感したり、新たな視点を得ることがあると、海外での研究経験がある研究者から聞くことも少なくありません。この事業でも若手研究者の方々が、海外でトップ研究者たちと直接接して研究等をすることで、より多くの研究者が海外に目を向けて、将来トップ研究者として活躍されることを期待しています。事業の成果が出るのはもう少し先になりますが、ASPIREが一定の成果を出すことで事業として定着し、日本の科学技術力の向上に、少しでも貢献できるようにJSTとして出来ることをやっていきたいと思います。

9:30 出社してメールをチェック。多忙な時期にはもう少し早めに出社することも
10:00 新しく入職したメンバーとミーティングを行い、その日の業務内容や進捗状況などを確認する
10:30 社内打ち合わせ。直接顔を合わせることもあれば、リモート勤務の職員とはオンラインで実施
12:00 ランチは自席でおにぎりやサンドイッチを食べることがほとんど。
13:00 ASPIREで採択された研究者と、オンラインで打ち合わせを行う
15:00 各国の政府機関とオンラインで事業の打ち合わせ
17:00 書類作成
18:00 帰宅
※所属部署および掲載内容は取材当時のものです
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