国は、社会全体の発展のために長期的な展望に基づいて科学技術政策を立案します。しかしこれを現実の形にすることは、大学や研究機関だけでは困難です。広い視野を持ち、資金、時間、人材、リスクのバランスや社会に対するインパクトを考え、多種多様な分野の研究開発を網羅的に推進し、そこから生まれた新しい価値を幅広く社会に展開していくことが必要だからです。
JSTはそうした役割を担う国の組織です。実際に研究開発に携わる研究者や研究機関、企業を「プレーヤー」だとすれば、JSTはその研究者や研究チームを、資金・リスク・時間の管理、人材の交流や育成、成果展開などの面から包括的にマネジメントする「プロデューサー」のような役割を果たすと言えるでしょう。また、日本屈指のノウハウとネットワークを生かした複数の研究者・研究機関の連携や分野を超えた人材、成果、知見のマッチングなどを通して、新たな社会的価値を生み出していく「拠点」としての機能もJSTの必要不可欠な役割です。
JSTは、社会に役立つ成果にたどり着くまでに長い時間とコストがかかる基礎研究の推進をはじめ、研究から生まれた成果を社会実装につなげるための産学連携やスタートアップ支援、研究開発成果を特許などの知的財産として保護・管理する事業、研究開発を効率的に進めるための論文や研究者のデータベースなどを提供する情報インフラ事業、次世代の優秀な研究者を育てる人材育成事業など、基礎研究から応用研究、社会実装へと一体的に進めていくことを目的とした多様な事業を担っています。
また、近年では、国として緊急性の高い重点分野と位置づけられているAIなどのICT分野や、GX(グリーントランスフォーメーション)の実現に特化した研究開発の推進、大学発スタートアップ創出力の強化を目指すプログラムの整備など、今後、日本の持続可能な発展のカギを握る革新的な研究開発に注力しています。
さらに、海外主要国との共同研究や人材交流の促進、将来の科学技術・イノベーション創出の担い手である若手研究者や大学院博士後期課程学生の支援や育成なども幅広く推進しています。
広範で長期的な視野を持ち、
研究開発をプロデュース
