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【アートな科学009】  ~JSTの研究開発課題の中の美しい1枚をご紹介します~

お役立ち物質の生産工場


無断使用を禁ず

【解説】

緑の細胞、赤の細胞、ともに、「ヘマトコッカス藻」と呼ばれる直径わずか数十マイクロメートル(1マイクロメートルは1,000分の1ミリメートル)の単細胞性緑藻です。

いつもは左の写真のように緑色をしています。
劣悪な環境下におくことで、赤い色素のアスタキサンチンとそれを含むオイルを蓄積して、右の写真のように細胞全体を真っ赤に変化させます。
みごとに染まって、まるで熟れたトマトのようです。

それぞれの右下の画像は、極ごく小さなヘマトコッカス藻を、高度な技術で薄切りにして、丸ごと1個の細胞から350枚もの切片をつくり、1枚1枚を電子顕微鏡で撮影し、コンピューターで3D画像(立体化画像)にしたものです。
この技術により、強い光の下でヘマトコッカス藻の細胞の構造が劇的に変化することがわかり、アスタキサンチンを含むオイルを蓄積する仕組みが明らかにできました。

アスタキサンチンは強い抗酸化作用をもち、ヘマトコッカス藻由来のアスタキサンチンを使用した商品も、医薬品・健康食品・化粧品など、さまざまな形で目にすることが増えてきました。

藻類には他にもバイオ燃料やデンプンなどの役に立つ物質を生産する種類があり、多くの研究が進んでいます。

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【JST課題名・研究者名】
戦略的創造研究推進事業 チーム型研究 CREST
「藻類・水圏微生物の機能解明と制御によるバイオエネルギー創成のための基盤技術の創出」研究領域
研究課題「微細緑藻の倍数化と重イオンビーム照射によるバイオ燃料増産株作出に関する新技術開発」
研究代表者:河野 重行 教授(東京大学大学院新領域創成科学研究科)

撮影者:大田 修平 特任助教、和山 真里奈 修士課程2年生(当時)、松浦 葉月 修士課程2年生(当時)、河野 重行 教授(東京大学大学院新領域創成科学研究科)