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【アートな科学001】  ~JSTの研究開発課題の中の美しい1枚をご紹介します~

数学で語る「渦(うず)」の物語

【解説】
常に変化してとどまることを知らない美しい「流れ」は多くの人を惹き付けてやみません。

この写真は、上から下へ流れ落ちるしゃぼん玉の膜を撮影したものです。膜の上の方に定規のような細い板を差し込むと左の写真のような美しい規則的な渦巻(うずまき)の列が観察されます。

これはカルマン渦列(うずれつ)と呼ばれています。遠くから見ると規則正しいこのパターンも、差し込んだ板に近づいてみれば、右上の写真のように複雑なのだと分かります。たくさんの「渦(うず)の卵たち」が生まれ、成長しては切り離されて、渦の列がつくられていくのです。

渦の卵たちの成長と「ひとりだち」には、どのようなメカニズムがあるのでしょうか?

現代数学の一分野である位相幾何学(トポロジー)を使って考えると、そこには複数のメカニズムがあることがわかってきます。その様子を模式的に示したのが、右下のいくつかの図と簡潔な式です。

美しい渦の成長物語には、こうしたシンプルな数学的構造が隠れているのです。

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【JST課題名・研究者名】
戦略的創造研究推進事業 CREST
「数学と諸分野の協働によるブレークスルーの探索」研究領域
研究課題「渦・ 境界相互作用が創出するパラダイムシフト」
研究代表者:坂上 貴之 教授(京都大学大学院理学研究科)

撮影者:坂上 貴之 教授、松本 剛 助教(京都大学大学院理学研究科)