東京理科大学(理事長 塚本 桓世)と科学技術振興機構(理事長 沖村 憲樹)は共同で、窒化物半導体の光触媒機能を用いて水から水素を発生させることに世界で初めて成功した。
これは東京理科大学理学部 大川和宏 助教授と科学技術振興機構のERATO創造科学技術推進事業「中村不均一結晶プロジェクト」(総括責任者 中村 修二 カリフォルニア大学サンタバーバラ校・教授)との共同研究により進めている研究の一環として得られた成果であり、現在、青色発光ダイオードや青色レーザーダイオードなど発光デバイスにおいて主要な役割を果たしている窒化ガリウム(GaN)の新たな光触媒作用の確認に成功したものである。本研究成果は、窒化物半導体を用いて電気エネルギーを光として取り出す従来の「発光」の性質の逆を利用し、光を窒化物半導体に吸収させて水を電気分解させるという原理に基づいている。
大川助教授らの今回の成果では、窒化物半導体表面で太陽光を吸収させ、光触媒効果により直接水を分解することを可能にしている。
太陽光より直接得られる水素はクリーンでリサイクルが可能なエネルギーとされ、今後 燃料電池などへの応用が期待される。環境負荷の少ない窒化物半導体と、地球上に豊富に存在する水を用いて水素を発生させるという今回の成果は、今後のクリーンエネルギー社会に大きく貢献する技術として期待が高まる。東京理科大学大川研究室が共同参加するJSTの同プロジェクトは、先月JSTが開催したレクチャー会の場においても、発光ダイオードの効率を高める新たな窒化物半導体開発に成功したことを報告しているが、大川助教授は同プロジェクトのグループリーダーの立場も務める。今後は共同研究を希望する企業との連携を図り、実用化へ向けた応用研究を進める予定である。
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