プロジェクト概要

励起子プロセスを制御するために様々な方法が存在します。たとえば、新規材料開発、材料の巧妙な組み合わせ、新規デバイス構造の構築、分子配向の制御、そして他のアプローチではあまり知られていない物理プロセスの活用などが挙げられます。本プロジェクトでは、 それらの手法を用いて一重項と三重項のエネルギー準位、放射・非放射失活、励起子拡散、励起子分裂、励起子消滅などを制御する方法を開発します。

本研究では、5つの基礎科学技術(量子化学計算/有機合成化学/デバイス設計/プロセス制御/光・電子デバイス物性解析)を元に次世代有機デバイスの創成を目指します。量子化学計算は分子を合成する前に、その特性を予測することができるため、新規分子の設計に貢献します。また、有機合成化学によって、要求される発光波長、エネルギー準位、崩壊過程などの特定の性能をもつ新しい分子を実際に作り出すことができます。

有機デバイスはこれらの分子で構成される薄膜を利用しており、そのデバイス設計は適切な材料の選定や組み合わせ、新たな膜構成の開発、薄膜のナノ構造によって調整されます。そして、膜の成長速度や作成環境を変えることで、フィルムや膜構成を注意深くプロセス制御し、分子配向や分散を変化させることによって分子相互作用やデバイス特性を調整することができます。さらに、光・電子デバイス物性解析によってデバイスや薄膜の物理現象を解明することで、これらのプロセスがどのようにデバイス特性に影響を与えているのかを特定することができます。

有機エレクトロニクスは、各デバイスで得られた知見を相互補完しながら発展しています。そのため、今まで培った有機EL(OLED)技術を基にして、高性能・高付加価値の有機トランジスタ、有機太陽電池、有機半導体レーザー、環境調和型のバイオエレクトロニクスデバイスの開発にも挑戦していきます。また、エキシトン過程の基礎研究を通して、現在の技術を超えた新しい機能の発現や応用先の発見にも期待しています。

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