さきがけ 研究者

研究課題名

強誘電性配位高分子複合界面の創製と光電変換素子への応用

プロフィール

大久保 貴志
大久保 貴志
Takashi Okubo

1972年栃木県生まれ。1999年 東京都立大学大学院理学研究科化学専攻 博士課程修了、博士(理学)。理化学研究所 基礎科学特別研究員を経て、2000年から北陸先端科学技術大学院大学 助手。2007年から近畿大学理工学部 講師。2011年から近畿大学理工学部 准教授、現在に至る。
研究分野:錯体化学

  • ※プロフィールは、終了時点のものです。

研究内容紹介

有機薄膜太陽電池は貴金属を使用しない環境に優しい太陽電池であり、ロール・ツー・ロールやインクジェット法などの既存のプリント技術を利用することでより安価に大量に作製できる可能性を秘めています。そのため将来的にはユビキタスな電源装置としての幅広い用途が期待されています。本研究では配位高分子という金属錯体のポリマーを有機薄膜太陽電池の半導体材料として利用することで、従来の有機薄膜太陽電池の性能を上回る新たな高効率太陽電池の開発を目指して研究を行っています。具体的には、1) 配位高分子のバンドギャップおよびキャリア制御と強誘電性配位高分子の開発、2) 配位高分子の薄膜化技術の開発、3) 配位高分子を用いた光電変換素子の開発という3つのサブテーマに関して研究を行うことで最終的に高効率太陽電池の開発を目指します。特に本研究で開発した強誘電性配位高分子は巨大な誘電率を有し、なおかつ高いキャリア移動度の半導体特性をも示す、極めて珍しい材料であることがわかっています。このような強誘電性配位高分子への光照射によって生成する励起子は非常に長寿命であり、この性質を利用することで新しい高効率薄膜太陽電池を実現できるものと考えています。それと同時に、本研究にて開発した配位高分子は、有機薄膜太陽電池の1種であるバルクヘテロ型太陽電池の半導体層に極少量添加することで、その光電変換効率が向上することも見出しています。この配位高分子は、バルクヘテロ型太陽電池において光増感色素として機能しており、最適なエネルギー準位を有する配位高分子を選択することで、様々な有機薄膜太陽電池に対してその変換効率の向上に寄与できるものと考えています。以上の様に金属錯体のポリマーである配位高分子の構造や電子状態、伝導性、誘電性を制御し、それらを新たな薄膜太陽電池の半導体材料として応用することで、有機のみでは実現できない新しい高効率薄膜太陽電池を開発し、現在のエネルギー問題の解決に寄与することを目指します。

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