さきがけ 研究者

研究課題名

金属酸化物層での被覆を利用した電極触媒の高機能化

プロフィール

竹中 壮
竹中 壮
Sakae Takenaka

1968年 京都府生まれ。1998年 京都大学大学院工学研究科分子工学専攻 博士課程修了、博士(工学)。1998年 東京工業大学大学院理工学研究科応用化学専攻 助手、2005年 九州大学大学院工学研究院化学工学部門 准教授、現在に至る。
研究分野:触媒化学
趣味:昼寝

  • ※プロフィールは、終了時点のものです。

研究内容紹介

二酸化炭素の排出削減、エネルギーの高効率利用の観点から、水素やアルコールを燃料とする固体高分子形燃料電池の本格的普及が期待されています。現行の固体高分子形燃料電池では高価なPt触媒が利用されており、特にアノードでの水素の酸化に比較して、カソードでの酸素の還元の反応速度が著しく遅いため、カソードで多量のPtが利用されています。またPtカソード触媒は、酸性、酸素雰囲気、高い正電位などの厳しい条件にさらされるため、Pt粒子の凝集やPtの溶解-再析出に伴うPt粒子径成長によりPtカソード触媒は失活します。そこで固体高分子形燃料電池の本格的な普及に向け、Ptカソード触媒の高活性化と耐久性向上が急務の技術課題となっております。
 Ptカソード触媒上での酸素還元反応(O2+4H++4e → 2H2O)では、酸素、電子、プロトンがPt表面に供給されなければならないため、電極活性点として作用するPt粒子は、複雑な三相界面および電気化学界面上に存在します。したがって電極触媒の活性・耐久性向上には、これら界面での物質拡散挙動や電気化学界面での反応機構を正確に理解し、これらに基づいた界面の精密設計が求められています。
 この研究プロジェクトでは、高機能性を有する金属酸化物層でPt電極触媒を被覆することにより、Pt電極触媒の高活性化・高耐久性化を目指します。金属酸化物層により被覆することで、(1) 炭素担体上でのPt粒子の移動、(2) Ptの溶解、および溶解したPt種の拡散が抑制されるため、Ptカソード触媒の耐久性向上が期待されます。また金属酸化物層の (1) 細孔構造、(2) 酸強度、(3) 親・疎水性などを精密に設計することで、分子、イオン種の拡散が促進されるだけでなく、Pt表面の反応性およびPt周りの触媒反応場を設計できると考えています。

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