生体分子情報ー構造ー機能統合ナノシステムの構築
DNAは配列のプログラムによって意図的に様々なナノ構造を形成させることが可能です。このDNAに特有な性質を利用し、多種多様の分子・材料を思い通りに配置できるようにDNA構造上に個別の情報「アドレス」を割り振り、ナノスケールで精密に集積させ、その空間で発現される新規機能を開拓します。これを基盤技術として生体分子を組織化した高度デバイスを作成し、トップダウン型のナノ技術との融合を図ります。
溶解カーボンナノチューブ高機能ナノシステムのデザイン
本研究では、研究代表者が世界に先駆けて提案、展開してきたカーボンナノチューブ(CNT)の可溶化/機能化研究を大きく展開させ、CNTのナノ構造制御による次世代のCNTナノハイブリッド材料の創成とその応用を目指します。ここでは、ボトムアッププロセスの高度化、ボトムアッププロセスとトップダウンプロセスの融合により高機能性CNTナノ構造体を創出します。また、同時にこれまでに未解明のCNTそのものの基盤特性を明らかにします。
動的応答特性を有するナノ構造体の構築と精密バイオ機能化
本研究では、細胞の内側に侵入し、あるいは外側からソフトに作用することによって、細胞や組織の状態を精密センシングしたり、その機能を制御できる「動的特性を有する3次元自己組織化ナノ構造体」の創製を目指します。バイオイメージング、マルチ刺激応答型薬剤放出材料や3次元細胞培養マトリックス、高感度・高精度バイオ分析などに応用可能な先端医工学を推進する新ナノバイオ材料への展開が期待されます。
自己組織化超分子ポリマーの動的機能化
ホスト分子としてシクロデキストリンや光応答タンパク質、抗体分子を、ゲスト分子として光や酸化還元応答性を有する分子を用いて、そのホストーゲスト相互作用を利用してさまざまな自己組織化超分子ポリマー構造体を作り、光などの外部刺激により、分子が分子の間を滑って動くシステムを構築します。さらに超分子ポリマーを利用して超分子触媒、超分子エネルギー変換素子、超分子センサー、および超分子輸送システムを構築します。
階層的3次元構造・粒子形態制御による高機能ナノ構造体の創出
本研究では、高機能(触媒・吸着・水素吸蔵・電極・赤外線遮断)固体材料を構成単位から原子・分子レベルで精密設計し、それらを自己組織化・集積化することで空隙体積、細孔径などが精密制御された構造体をサブナノ-マイクロメートルレベルで構築します。また、構造体生成過程の素反応制御による速度論的な集積・凝集形態制御を行い、3次元構造のみならず粒子形態が制御された構造体も合成します。さらに、材料の応用・実用化展開を行います。