
HOME 研究代表者・研究課題 平成26年度採択 中村栄一
新しい電子顕微鏡科学を基軸としたゆらぎ
分子システムの分子技術
本研究は、ナノおよびメゾスコピック領域での構造ゆらぎを持った分子と分子集合体の構造や動的挙動、そして化学反応の研究における高分解能電子顕微鏡の利用法を探求します。これにより、化学、製薬、電気・電子工業での基盤技術である結晶化と相分離の制御、触媒化学反応の合理設計、タンパクの構造決定などで格段の進歩が期待されます。
図1.カーボンナノチューブに一次元配列したC60分子の電顕観察による反応速度論解析
ナノスケールポリマー集合体の形成過程の
観察に成功
図1.フラーレン二重膜ベシクルへの金ナノ粒子複合化の模式図と走査透過電子顕微鏡(STEM)像
図2.金ナノ粒子の協奏的集積化を示すSTEM像.ベシクル表面上でのドメイン形成がみられる.
疎水表面をもつ水溶性フラーレン二重膜ベシクルを土台として,界面活性修飾を施した金ナノ粒子の集積化プロセスを高分解能電子顕微鏡を用いて追跡した結果,表面置換基の最適化によりベシクル表面における金ナノ粒子の協同的自己集積化が実現できることを見出し,直径30ナノメートルの安定なハイブリッドベシクルを得ることに成功した(図1).
単粒子レベル分解能での電顕観察により,金粒子の自己集積化挙動は粒子表面のオリゴエチレンオキシド鎖長が大きく影響することがわかり,粒子間の相互作用により協同的に粒子が集積化する特殊な機構を明らかにした(図2).
作製したハイブリッドベシクルは粒子単独よりも高い触媒活性を示すことも明らかにし,これまで困難であった階層的組織化の合理設計と機能開拓に道をひらいた.
図1
図2
図3