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ワークショップ報告書
2020年11月
(ワークショップ報告書)Society 5.0実現に向けた計算社会科学/CRDS-FY2020-WR-03
エグゼクティブサマリー

本報告書は、2020年7月9日に開催された科学技術未来戦略ワークショップ「Society 5.0実現に向けた計算社会科学」の発表、議論をまとめたものである。

Society 5.0の実現にむけては技術開発だけでなく、技術の適用や施策の実施に関しての合意形成が欠かせない。そのためには、社会が生み出す様々なデータの分析結果をもとにした社会モデルと、その社会モデルに基づくシミュレーションが有効だと仮説を立てた。社会のデータに基づく社会の理解やシミュレーションは社会科学と情報科学の融合領域である計算社会科学と呼ばれる研究分野である。

本ワークショップでは、計算社会科学の研究に関して以下のような論点について検討した。
①データに基づいて社会モデルを構築できるシーン
②データを用いた研究開発や社会システムづくりに関して求められるRRI/ELSI的配慮
③社会科学者と情報科学者が連携していく際の課題や障壁を乗り越える方策
④計算社会科学のような融合領域の研究コミュニティの形成方策や人材育成方策
⑤COVID-19の経験を通して得られた教訓

「Society 5.0実現に向けた計算社会科学」と題して、データを使った研究についての紹介がされた。データ収集・公開の必要性、社会科学と情報科学の研究慣習・文化の違いを乗り越えるためには、そのための場が必要とのコメントがあった。

「社会現象を理解するためのデータの収集・分析」と題して、データを収集し解析している立場から、データに関する話題が提供された。データがどのように生成されたかを理解していないと、分析結果の解釈を間違うことがあるので、自分で集めることも大事である、という話があった。

「会津若松市におけるスマートシティの取り組み現場から」と題して、会津若松市でのスマートシティの取り組みについての事例紹介があった。企業を超えたデータ連携の必要性、オプトイン方式によるユーザーの利便性にこだわることで住民参加を促すこと、運営組織・ガバナンス・人材育成の重要性が示された。

「Society 5.0実現に向けた計算社会科学に関する一考察」と題して、経済学の新しい分野である行動経済学に必要な社会実験におけるランダム化比較試験についての話が紹介された。内生的なパラメータだけでなく、外生的な変化を社会実験で調べることに加え、人間行動の基礎的な研究を合わせるといった全体的なパッケージとすることの重要性が示された。

「根拠データに基づく合意形成や政策決定の可能性」と題して、シビックテックの紹介があった。様々なユースケース案を示し、どんな社会を目指すのかという視点からのバックキャスト的デザインや、幅広いステークホルダーを巻き込んだ対話の場の必要性も示された。

「人格なき統治における社会科学」と題して、Society 5.0はモノと情報をつなぐ結節点の自動化であり、それは人格ある存在としての人間の姿を見ないままに統治することを可能にする、ということが示された。人間中心という言葉を実現するためには、それを保証する何かが必要であるが、それを計算社会科学自身で実現するのは筋が悪く、RRI/ELSI的考慮として、計算社会科学の社会実装に対する外在的なバリア/制約として位置づけるべきであるということが示唆された。

全体討議では、少数意見や障がい者への配慮といったRRI/ELSI的考慮の必要性、シミュレーションに基づいて実施された政策の効果に対する評価や、評価結果のフィードバックの重要性などが議論された。

※本文記載のURLは2020年11月時点のものです(特記ある場合を除く)。

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