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報告書等
ワークショップ報告書
2020年3月
(ワークショップ報告書)深層学習と知識・記号推論の融合によるAI基盤技術の発展/CRDS-FY2019-WR-08
エグゼクティブサマリー

本報告は、2020年1月30日に開催した科学技術未来戦略ワークショップ「深層学習と知識・記号推論の融合によるAI 基盤技術の発展」の内容をまとめたものである。

深層学習(ディープラーニング)が第3 次AI ブームを牽引している。画像認識、文書読解、囲碁・ポーカー等、さまざまな特定タスクで人間を上回る結果を出して話題になり、分類・予測・異常検知等の用途で、さまざまな産業応用も広がっている。その反面、大量の教師データや計算リソースが必要であること、想定外の状況での振る舞いが分からないこと、理由の説明が難しいこと等、現在の深層学習の限界も指摘されるようになった。

このような限界を克服する次世代AI の方向性として、深層学習に記号推論を融合し、認識・行動のレベルから言語・推論のレベルまでを扱える仕組みが検討されつつある。ここでは、深層学習と知識・記号処理の単純な組み合わせ・併用ではなく、より本質的な融合が必要になる。そこで、特に2 つの論点について掘り下げるために、本ワークショップを開催した。ここでの第1 の論点は「次世代AI の中核的な技術チャレンジは何か?」であり、第2 の論点は「それがもたらす社会・産業インパクトは何か?」である。

5 件の発表と総合討議を通して、これら2 点について検討した。その概要は以下の通りである。
・発表1:これまでのAI 研究の2つの流れ(データから学習する即応的な知能と、記号的知識を使って推論・試行する熟考的知能)や課題を概観しつつ、2 つの融合に向けて、注目する取り組みや考え方が幅広く紹介された。
・発表2:ロボットへの深層学習の適用を通して知能を考えるというスタンスから、模倣予測学習や連続動作学習等の具体的な応用事例を交えつつ、ロボットにおける記号接地問題や動作の分節化の現状と課題が示された。
・発表3:現在の自然言語処理技術は、文章読解のベンチマークで一見高いスコアが得られていても、文脈理解・常識推論を含め、真の理解はいまだできておらず、今後、生のテキストの処理と知識ベースによる高次の処理を共通構造上に融合させる方向への発展が必要なことが示唆された。
・発表4:仮説検証サイクルが、意味(価値)の維持・向上・創造に重要な役割を果たし、このサイクルを組み込んだ循環ニューラルネットワークや、サイクルをベースとしたモジュラリティーが今後向かう方向になるとの示唆がなされた。
・発表5:記号世界の正解ラベルに実世界のものを結びつけるという記号接地問題の捉え方は適切でなく、実世界とのインタラクションや社会的な共有の中で記号が創発されるという記号創発ロボティクスの考え方、汎用的なロボット・知能へのアプローチ、そこでキーとなるマルチモーダル確率的生成モデルが示された。
・総合討論:まず、深層学習と知識・記号推論の融合、あるいは、知覚・運動系の即応的知能(System 1)から言語・論理系の熟考的知能(System 2)までを統一的に扱う仕組みをどう捉えるかを論じた。次に、この方向で研究開発を推進するうえで、新たにエクスペリエンス(経験)のデータ化が重要になることが指摘された。さらに、国際競争力という面に関して、まだ皆がスタートラインに立った段階であり、日本にもチャンスがあること、および、ロボット、自然言語、教育といった切り口から産業応用が広がる可能性が示唆された。

※本文記載のURLは2020年3月時点のものです(特記ある場合を除く)。

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