2018年12月
(ワークショップ報告書)俯瞰ワークショップ報告書 ナノテクノロジー・材料分野 全体会議「世界を先導する材料・デバイス研究の方向性」/CRDS-FY2018-WR-08
エグゼクティブサマリー

 本報告書は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)が平成30年9月1日に開催した『俯瞰ワークショップ ナノテクノロジー・材料分野全体会議 「世界を先導する材料・デバイス研究の方向性」』に関するものである。
 第5期の科学技術基本計画におけるSociety 5.0の推進、世界的に注目されている持続可能な開発目標(SDGs)、少子高齢化やエネルギー問題などの日本の社会的課題の克服に向けた科学技術の進展が期待されているが、一方では日本における研究開発予算の飽和と相対的な研究開発力の低下が続き、網羅的な資金配分が困難になってきている。このワークショップは、このような状況の中で、材料・デバイス研究をどのように進めていくべきか議論し、ナノテクノロジー・材料分野の俯瞰報告書2019年版に反映させることを目的に開催した。
 「材料・デバイス研究に対する産業界からの期待」では、デバイスの省電力化、磁石、パワーモジュール、電池など電動化に関する革新材料開発、材料開発の情報化・インフォマティクスの利用、製品・化学物質の安全性に対するメカニズム解明などへの期待が示された。また、社会潮流から想定される仮説を立てる社会課題解決型の研究の進め方、データを活用した材料・モノづくり研究、企画から運用、廃棄までの全体バリューチェーンに貢献する観点での材料開発の必要性が示された。
 「日本としての重要な視点と強化する技術領域」では、イノベーション創出のシナリオ作りを行うCOCNの「推進テーマ活動」、Society5.0の実現に向けた具体的投資対象分野「目指すべき7つの社会像」とそれを支える「3層の基盤」の提言、今年度の推進テーマ「エネルギー革新に向けたMI(マテリアルズ・インテグレーション)基盤の構築」が示された。また、部材に強い日本の実態、部材・ハードウェアとAI・ソフトウェアとの組み合わせの重要性、次世代のIoTにおける情報を取得するセンサーの重要性、NEDO技術戦略センター(TSC)におけるNano IoTのコンセプト、などが示された。
 「今後強化が必要な基盤技術と強化方法」では、大阪大学における産学共創に向けた取り組み、ベンチャー投資の国際比較、日本のベンチャーキャピタルによる投資の推移、大学シーズからのイノベーション創成、などが示された。また、資源循環型社会の構築に向けた材料・化学領域の技術革新、炭素循環技術のロードマップ、窒素循環社会、リン循環社会、物質循環技術などが示された。
 総合討論では、CRDSが示した仮説と招聘者からの事前アンケートを基に、「今後の材料・デバイス研究の重点化の視点」、「強化する材料・デバイス基盤技術」、「材料・デバイスコア技術の強化方策」、の3テーマについて議論した。
 これらの結果は、CRDSでさらに検討を加えて2019年度初に発行予定の「研究開発の俯瞰報告書 ナノテクノロジー・材料分野(2019年)」に反映させるとともに、次期の科学技術基本計画への意見発信など今後の科学技術政策検討の基礎資料として提供していく予定である。

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