2018年6月
(ワークショップ報告書)俯瞰ワークショップ報告書 ナノテクノロジー・材料分野 区分別分科会「共通基盤科学技術(計測分析)-オペランド計測技術-」/CRDS-FY2018-WR-01
エグゼクティブサマリー

 本報告書は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)が2018年3月10日に開催した俯瞰ワークショップ ナノテクノロジー・材料分野区分別分科会「共通基盤科学技術(計測分析)-オペランド計測技術-」に関するものである。

 計測分析技術の中でも、デバイスの動作状態や生体の活動状態などにおけるナノスケールの構造や物性の動的変化を観察できるオペランド計測を取り上げ、表面・界面や摩擦、電場・磁場などに関するオペランド計測技術の最新の研究開発動向を俯瞰するとともに、オペランド計測による可視化・定量化が期待される現象とそれに必要な技術要素など、今後の計測技術の方向性について議論することを目的にワークショップを開催した。

 表面・界面のオペランド計測に関しては、SPring-8やSACLAを使ったPump-Probe XAFS測定により、触媒の反応状態の観察や触媒反応過程の解釈が可能になってきたこと、小角散乱法によるポリマー材料の構造解析、均一ゲルのゲル化前後での構造解析とダイナミクス、および温度応答性ゲルの構造解析の実例、内部構造をピンポイントでみるオペランド計測の将来の展開などが示された。
 摩擦、反応、その他現象のオペランド計測に関しては、摩擦界面の現象を取り扱うナノトライボロジーにおける界面潤滑剤による潤滑のメカニズムの理解に向けた和周波発生分光法(SFG)によるその場観測、また量子ビームを用いたトライボロジー現象理解(メカノオペランド量子ビーム分析)、中性子反射率法による脂肪酸吸着膜の吸着構造解析、ハイパワーレーザーによる超高圧・高温の極限環境生成、レーザーアブレーション・レーザーショック形成初期の素過程の解析について示され、オペランド計測への期待とともに今後現象を切り分けて理解するための各種計測手法の複合化の必要性が示された。
 電場・磁場のオペランド計測に関しては、走査透過型電子顕微鏡法(STEM)における微分位相コントラスト(DPC)の特徴、原子内部電場の直接観察、磁気スキルミオンの観察、放射光やXFELで観測したスピンの超高速ダイナミクスの例、レーザー励起磁化反転の解明に向けた XMCD(X線磁気円二色性)測定の例、今後必要な研究などが示された。

 総合討論では上記の話題提供内容を踏まえ、1)計測分析技術全体を俯瞰してのオペランド計測の役割、2)オペランド計測により今後解明が期待される現象とその実現に必要な技術要素、3)政策、制度面の課題、を論点として、今後の計測技術の方向性について議論した。

これらの議論の結果を踏まえてCRDSでさらに検討を加え、2018年度末に発行予定の「研究開発の俯瞰報告書 ナノテクノロジー・材料分野(2019年)」に反映させるとともに、今後国として重点的に推進すべき研究領域、具体的な研究開発課題の検討に活用する。

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