2016年3月
(ワークショップ報告書)科学技術未来戦略ワークショップ報告書 知のコンピューティング「知の創造とアクチュエーション」/CRDS-FY2015-WR-06
エグゼクティブサマリー

 科学技術振興機構研究開発戦略センター(CRDS)では、現代社会にあふれる知識と情報をわれわれが活用をしきれていないのではないかという問題意識の下で2003年に「知のコンピューティング」というコンセプトを提唱し、知の創造、蓄積と流通を促進し、人間の科学的発見や社会への適用を加速することで、人々が日々賢く生きるための力となる仕組みづくりに向けた研究開発の検討をしてきた。
 社会適用に関しては、予測・発見を通して獲得した『知識』を人間や社会に新しい価値として還元するための技術、これを「知のアクチュエーション」と呼んで、深掘りすることを合わせて実施することを目指して本ワークショップを開催した。当初は、「予測発見の促進」と「知のアクチュエーション」をそれぞれ実施する計画であったが、発見された「知」は社会に適用してこそ意味があるという認識から、これら二つのテーマを同時に深掘りするワークショップとして設計した。

 ワークショップでは、冒頭、「知のコンピューティング」としての「知の創造とアクチュエーション」のコンセプトやワークショップの位置づけを説明した。ついで、2007年のワークショップで座長をつとめた有川節夫先生による「発見科学」に関する基調講演および、参加者による専門研究分野と「知の創造とアクチュエーション」の関連課題に関するポジショントークを発表いただいた。

 今回のワークショップの目的のひとつは、知の創造とその社会適用に関する探求である。その観点で分科会で描き出されたゴールを考察する。描出されたものは以下の3つのゴールイメージである。
・ 誰もが参加でき、各人の納得感が高く、状況に応じた、個別的なありがたさを享受できる社会
・ 「智徳主義社会」を目指す人間と機械と社会のシステム
・ Social Value-driven Smart Innovation(社会的価値駆動型スマート・イノベーション)

 今回のワークショップのもう一つの目的は、予測・発見を通して獲得した『知識』を、人間や社会に新しい価値として還元するための技術、これを「知のアクチュエーション」と呼んで、深掘りすることであった。分科会で抽出された研究開発課題を知のコンピューティングの俯瞰図にマッピングした。発見科学や、非言語情報による状況把握や可視化などの従来から挙げられていたものに加えて、人間の信念・共感・意図に働きかける技術、集団レベルで意思決定をアクションをバランスさせる技術、物理空間とサイバー空間をつないで集団的創造活動を支援する技術など、知の創造とアクチュエーションに関わる技術が新たに特定できたことは意義深い。

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