2014年2月
(ワークショップ報告書)科学技術未来戦略ワークショップ「知のコンピューティング:知のコミュニティ」/CRDS-FY2013-WR-12
エグゼクティブサマリー

独立行政法人科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)は、コンピューティングの新たな地平線として「知のコンピューティング(Wisdom Computing:知の創造の促進と科学的発見・社会適用の加速)」(図1)の実現に向け、関連分野の有識者と共にその分野を作り出し、日本発のイニシアティブとして確立するためのサミットを平成 25年 7 月に開催した。サミットでは、知のコンピューティングという新たな分野が目指すべき方向性として、従来の人工知能やロボティクスをさらに一歩推し進めた、人間と機械の共創を目指したコンピューティングという新たなコンセプトが得られたので、その成果を踏まえ課題別に議論を深めるため複数のワークショップを企画した。課題別ワークショップの第 1 弾として 2013 年 10 月に「知のメディア」ワークショップ、第 2 弾として 2013年 11 月に「知のプラットフォーム」ワークショップを開催した。本書では第 3 弾として 2013年 12 月に開催した「知のコミュニティ」ワークショップの内容を報告する。本ワークショップには、メカニズムデザイン、ヒューマンインタフェイス、クラウドソーシング、マルチエージェントシステム、社会ネットワーク分析などの分野から 9 名の研究者を含めて、総勢 17 名が参加した。そこでは、知のコミュニティの定義と構造、関連する研究分野と研究課題、2020 年を狙ったグランドチャレンジを議論した。まず、「自己の研究分野と知のコンピューティング」というテーマで各参加者の研究分野から見た研究の課題と問題意識の発表を行い、知のコンピューティングとの関連を議論した。ついで、2020 年をターゲットにした具体的な達成目標(チャレンジ)、チャレンジテーマ達成に向けて必要な知識、技術、社会制度の現状と 2020 年にあるべきの姿、ギャップを埋めるための研究課題を洗い出すためのグループワークを行った。抽出された 4 つのチャレンジテーマと研究課題を以下に示す。
1.東京オリンピックを想定したクラウドソーシングによるサービス提供
研究課題:資格導入によるワーカの質保証、国や分野に根ざした多様なコミュニティダイナミクスの理解、コミュニティを導くための共感・共鳴技術、データドリブンメカニズムデザイン、社会同化型シミュレーション、創造的活動を妨げない法制度
2.人がコミュニティの中で楽しみながら効率よく学習することを支援
研究課題:主観的な知の外在化技術、マイクロ報酬制度、多言語で議論を行う環境
3.コミュニティコンピューティングによる特許や知の創製
研究課題:知の集積・流通・利用のためのインセンティブメカニズム設計、知の外在化のためのインターフェイス、集合知の創出メカニズムと問題構造の解明
4.社会リスク・コストをなくすゼロ社会の実現
研究課題:データとシミュレーションによる社会設計、人の外的能力に依存しない社会参加を可能にする制度と技術支援
JST/CRDS では、これらの一連の課題別ワークショップの成果をもとに、知のコンピューティングを促進するための研究開発提言を行う(H25 年度末発刊し、JST ホームページにも掲載予定)。

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