2012年3月
(ワークショップ報告書)科学技術未来戦略ワークショップ「機能性原子薄膜/分子薄膜の創生と展開」報告書/CRDS-FY2011-WR-12
エグゼクティブサマリー

本報告書は、(独)科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)が平成24 年 2 月 2 日に開催した科学技術未来戦略ワークショップ(WS)「機能性原子薄膜 / 分子薄膜の創生と展開」に関するものである。
グラフェンを始めとする二次元薄膜が注目を集めている中で、CRDS では広く二次元機能性原子薄膜、さらに機能性分子薄膜まで対象を広げ、現在の最先端の研究開発状況から今後の方向性を考え、その上で重要となる具体的な研究開発課題を抽出することを目的として、上記のワークショップを開催した。
二次元機能性原子薄膜、分子薄膜は、従来の薄膜とは異なる特性・材料・構造によって、新たな機能や従来膜の特性を凌駕する機能を発現することが可能であり、新規デバイスの開発につながることが期待される。以上の共通認識の下、シリコンを中心に進展してきたエレクトロニクスデバイスの微細化、集積化、低消費電力化の限界を突破できる可能性がある技術として、なぜ今原子薄膜、分子薄膜なのか、具体的な研究開発課題、開発手法、予想される成果、社会への波及効果、国外のファンディング状況、などを議論・検討した結果、下記のアウトプットが得られた。原子薄膜、分子薄膜に注目する理由としては、エレクトロニクス動作に際してのエネルギーロス最小化には、究極的に薄い膜、つまり原子薄膜、分子薄膜が理想的であることが指摘された。特に原子薄膜は薄膜であるが故に電界で外部変調が容易であること、固有エネルギーを有すること、また、異種材料との組み合わせにより新しい機能を発現できることも指摘された。分子薄膜は合成可能な自由度の高い系であり、自己組織化、自己形成化する材料である。将来、表面コートや分子レベルの触媒に発展する可能性がある。さらに、様々な産業分野において、元素の希少性や地域偏在に危惧することなく、安価で豊富な元素を用いて従来以上の機能を持つ材料を用いることができれば、産業界にとっても大きな変革をもたらすことも指摘された。
今回のワークショップのテーマは非常に先進的であり、正に国内外で研究が沸騰し始める状況にある。今後日本がこの分野で先導的な役割を果たすためにも、早めに大きな研究投資を実施することが望まれる。

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