2012年1月
(ワークショップ報告書)科学技術未来戦略ワークショップ報告書 細胞社会の統合的解明に向けた戦略研究/CRDS-FY2011-WR-05
エグゼクティブサマリー

生体は、種々の細胞とそれを取り巻く周辺環境との相互作用によって、組織・臓器が形成され、細胞から組織、器官、個体という階層的な細胞社会の機能が維持されている。よって、細胞が生命の営みの最重要単位の1 つであることは疑いようもない事実である。これまでの細胞生物学の進展により、細胞がいかにして遺伝情報のプログラムを解読し、例えば免疫システムであればリンパ球などの実行部隊へとその情報を送るのか、細胞の分化・増殖などの挙動の変化がどのような細胞内情報伝達経路の総体として創出されてくるのかなど、一昔前の生物学上の問題が、現在では研究者間で常識的な知識として扱われている。しかし一方で、細胞レベルで解明されている詳細な素反応のネットワークと、個体、組織レベルのマクロな生命現象の間には、実体の判然としないいくつかのギャップが横たわり、複雑な生体機能や、多様な疾患の特性を理解する上で大きな課題となっている。今後この課題を克服し、より効果的な予防、治療技術の開発につなげるためには、様々な種類に及ぶ細胞の周辺環境を構成する要素を同定し、またその機能の質的な変化も同時に捉えることが必要不可欠なものとなってくるであろう。
上記の問題意識を基に、独立行政法人科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)では、異種間も含めた細胞間の相互関係、および、細胞内外の相互関係を「細胞社会」と定義し、生体組織の質を左右する多様な「細胞社会」の実体を統合的に解明することで、あらゆる疾患のメカニズムを明らかにし、疾患の制御に繋げていくことが可能になるではないかと考えた。そこで、JST-CRDS では、「細胞社会」の研究を推進していくための具体的な研究開発案を抽出するとともに、その推進上の問題点を明らかにし、解決策を議論するためのワークショップを開催した。

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