2008年6月
(ワークショップ報告書)科学技術の未来を展望する戦略ワークショップ「バイオフラスコ」 報告書/CRDS-FY2008-WR-01
エグゼクティブサマリー

ゲノムプロジェクトをきっかけに、生命を遺伝子やタンパク質などの要素に分解して理解しようとする要素還元的な研究が加速し、ゲノム配列やタンパク質構造などの要素的情報の蓄積が飛躍的に進んでいる。ゲノム・機能分子分野では、このような蓄積を踏まえ、逆方向の研究の発想が生まれ、新たな展開・発展期を迎えようとしている。すなわち、遺伝子やタンパク質などの要素から生命システムを具体的に再構成することにより、生命の構成論理や機能原理を理解し、生命の持つ高次な機能を実現して、イノベーションの源泉となる技術シーズを生み出そうとする研究領域である。研究開発戦略センターでは、このような、生命システムを再構成することにより生命の理解とイノベーションの基盤を生み出そうとする研究領域を「バイオフラスコ」と名付け、その領域について、国として研究開発を行う必要性とその理由、具体的な研究開発課題とその理由、研究推進方法を明らかにするために、当該研究領域の研究者の参画を得て戦略ワークショップを開催した。
戦略ワークショップでの検討の結果、「バイオフラスコ」研究を推進することにより、高次の生命機能を遺伝子やタンパク質などの要素から構成するための必要十分条件が明らかになり、生命システムを合成するという学問的ブレークスルーが実現できる。また、再構成の過程で得られるシンプルな人工生命システムは、あたかも自動車や航空機開発における風洞装置の様な定量性の高い研究ツールとなり、あるいは、生体と人工物からなる人工細胞などのハイブリッドシステムは生体と人工物質(デバイス)をつなぐインターフェイス材料や医療に応用され、科学技術イノベーションのシーズをとなりうる、などが確認された。さらに、戦略ワークショップでは、「研究領域の定義」、「研究に投資する意義とその理由」、「具体的な研究課題とその理由」、「研究推進方法」、「研究領域の 5 年ごとの発展の方向性」、「その他、関連事項」、「個別研究課題」などについて、詳細な検討が行われた。これらの戦略ワークショップの結果から、生命システムを再構成する研究「バイオフラスコ」は科学技術の基盤の拡大と科学技術イノベーションのシーズを提供するという社会ビジョン、社会ニーズの充足の観点から投資する意義の高い研究領域であることが示された。本報告書は戦略ワークショップの検討の成果を取りまとめたものである。研究開発戦略センターでは、戦略ワークショップの成果をもとに生命システムを再構成する研究「バイオフラスコ」について、海外の研究開発状況との比較など詳細な検討を加え、推進すべき研究領域として戦略プロポーザルを取りまとめる予定である。

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