2008年3月
(ワークショップ報告書)植物生産・利用技術の俯瞰 -社会ニーズの充足に資する植物科学技術の視点より-/CRDS-FY2007-WR-19
エグゼクティブサマリー

 数万年前に確立された植物の栽培技術が古代文明の出発点の象徴の一つして語り継がれているように、植物生産・利用技術によるイノベーションは我々人類に計り知れない恩恵をもたらしてきた。近年においても緑の革命に代表される主要作物の栽培技術、植物等が堆積した化石資源の利用技術、画期的な新薬の原料供給に寄与した代謝制御技術、そしてバイオマスエネルギー生産に不可欠な糖質変換技術など、社会を変貌させたイノベーションに繋がる植物科学技術には枚挙に暇がない。
 一方、最近は、世界のあらゆる地域において食料問題や環境破壊など、持続可能な社会への実現に対して警鐘を鳴らす地球規模の様々な課題が顕在化してきている。例えば、増加の一途をたどる発展途上国の人口に対して必要な食料は十分に生産できてはいない。また、先進国を中心とした食品の健康被害の問題も顕在化してきている。さらに、化石資源の利用による温暖化ガスの放出とそれにともなう気候変動が年々深刻化しており、根本的な打開策を見いだせずにいる。これらの課題解決のために、現在また、我々は植物科学技術に関するイノベーションに大きく依存せざるを得ない局面にきている。
 本報告書では、上記のような課題解決に対して、植物が寄与できる技術を「技術俯瞰マップ」として取りまとめた。マップの特徴は、「食料生産」、「有用物質・エネルギー生産」、「環境保全」という植物生産・利用の中心的な出口となる3つの社会ニーズを取り上げ、基礎的な技術から、育種、栽培・管理、利用に至る関連技術を網羅的にマッピングしている点にある。また、併せて国際的に緊急性が高く、早急に着手すべき課題を上記3つのニーズごとに複数取り上げその研究戦略も記述している。記述にあたっては、マップ上にある技術の中から特にボトルネックとなっているものを取り上げ、それらを解決するための研究開発課題を示した。

PDFダウンロード

関連報告書