2007年4月
(ワークショップ報告書)「ナノテクノロジー・材料分野」俯瞰ワークショップ 報告書/CRDS-FY2007-WR-07
エグゼクティブサマリー

●ナノスケールの計測技術「ナノ計測」は「もの作り」と共にナノテクの両輪であり、ナノテクと他分野をつなぐ融合の媒体でもある。戦略重点科学技術にも「ナノ領域最先端計測・加工技術」として明記されており、今後のナノテク分野全体の中でナノ計測は一層の重要性が増すものと考えられる。特に、・従来は、優れた研究者個人のアイデア(シーズ)による実質的なボトムアップ型研究がほとんどであるが、現在の非常に厳しいナノテク競争環境において多くの優れたアイデアを生み出し、効率よく実現する仕組みを作ることは重要である。
・ある時点で近い将来有望と考えられていた手法が10 年後に別の計測手法に置き換わっている場合も多く、様々な可能性を常に検討した柔軟な開発も求められている。
・分野融合の典型的な場であるナノテクにおいては、異分野で用いられている計測技術間の融合、新物理・化学現象のナノ計測技術への応用等を強く推進すべきである。
●日本の計測戦略は計測技術・装置開発自体に少々偏っている印象は否めない。計測技術・装置開発自体に特化にせず、ナノテク全体の進化からの視点で取り組む必要がある。すなわち、・個々の革新要素技術は日本の先端基盤技術としては非常に大切であるが、それだけでは役に立たない要素技術が多い。ニーズを出発点に解決すべき要素技術を選択する必要がある。
・このためニーズ側の研究者をリーダーとしたプロジェクトが必要である。・“ベンチャー企業を作る”ことが目的ではない。その種となるべき新しい概念・技術を生み出すことに軸足を置くべきである。
・「ナノ計測」とは、試料作製技術、測定環境技術、理論計算等、これら全ての総合技術である。ある具体的ニーズに向かって、あらゆる科学技術を総動員する中で、最も重要な要素の1つとして「ナノ計測(プロジェクト)」がある、と捉えるべきである。
●計測を舞台にした分野間の融合の例として、
⑴光イメージング用光源としての半導体量子ドットレーザーの生体・医療現場での応用
⑵ AFM を(生体)高分子に接触させ、その光学応答計測、計算シミュレーションを融合させた能動的計測法
⑶ MEMS を基盤としたセンシング技術等が提案された、また、ニーズの高い計測としては、例えば、
⑴量子ドット形成ダイナミクスの「MBE その場」S TM 観察等の機能発現環境下における計測は、困難であるが粘り強く取り組むべき課題である
⑵ナノエレクトロニクスでは、不良(特性ばらつき等含む)が起きたときの原因解明が重要課題で、不良を同定したビットそのもののナノ計測(不純物分布、歪み、欠陥)などを全て計測できる方法が求められている
⑶生物学的課題をクリアする化学プローブの開発
⑷置き換え困難な構造物、社会基盤材料の劣化(腐食等)の予測・診断等である。また、ニーズを満たす可能性が高い計測シーズ(技術)の多くは、走査プローブ計測、電子・イオンビーム計測(TEM 等)、光学(X 線含む)計測の基本・派生技術に、試料作製技術、測定環境技術の融合である。ニーズとシーズのカップリングを効率的に行うにはこの点を考慮することが重要である。

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