2007年3月
(ワークショップ報告書)分野融合フォーラム-ライフサイエンスにおける新しい研究潮流-報告書/CRDS-FY2006-WR-11
エグゼクティブサマリー

研究開発戦略センター江口グループでは、ライフサイエンス研究の流れを展望するために、平成 19 年 1 月に若手研究者による「分野融合フォーラム-ライフサイエンスにおける新しい研究潮流-」を開催した。
フォーラムでの議論を通じて、ライフサイエンス研究の流れは次のように整理された。分子生物学、細胞生物学、構造生物学の発展によって分子の同定、役割、形、データ収集という“もの”の物性の解明が飛躍的に進んできている。今後は、それらが形作るシステムのダイナミクスを見ることが大きな流れであろうということが共通に認識された。複雑でダイナミックな生物のシステムを研究するためには先端計測技術の開発、特にイメージング、プローブ開発が非常に重要になろう。また、取得したデータを解析し、それをモデリングして理論を作ることも求められる。さらに、数学を使ってきちんと形式化することによって、医療やモノづくりに役に立つようにする必要があるという議論がなされた。研究手法としては、ボトムアップ的な研究とトップダウン的な研究、解析的アプローチと構成的アプローチの双方から取り組むことが重要だという議論があった。計測した結果を理解するために、理論を作る人、モデルを作る人も加わって統合的にダイナミックなシステムを解析することが重要であり、それを組織的に集中的に行う必要性が多くの人から指摘された。分野融合という観点では、ライフサイエンスを中心にして、数学、計算機科学、物理学、化学、工学など多くの分野の研究が集結することにより、サイエンスが大きく飛躍する可能性が指摘され、ライフサイエンスを核にして分野融合が進むであろうということが強く示唆された。
異なる分野が融合する場合には、革新的な技術・ツールの果たす役割が非常に重要であることを参加した研究者が共通に認識していた。特に、複雑な生体システムのダイナミクスを見るためのイメージング技術は国を挙げて取り組むべきものの一つであるという意見が多かった。
また、我が国では異分野の研究者が集まって議論する場が少ないという指摘があった。本フォーラムで設定した、少人数の研究者が議論する場では、議論が大いに盛り上がっていたことから、“異分野の研究者が接触する場”の提供が有効であることを確認することができた。しかしながら、“研究分野を見出す”ための全体セッションでは、必ずしも思ったようには議論が拡がらなかった場面も見受けられた。
また、バイリンガル、マルチリンガルな人材はまだまだ稀有な存在であり、今後、そのような人材を如何に育成していくかが重要になるであろう。今回のフォーラムでは、各研究分野の最先端を走っている若手研究者同士の接触により、新たな融合的な研究分野を見出すための素材を収集することを狙ったものであり、事前質問を含めて将来の研究分野を検討するための素材を収集することができた。

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