2006年3月
(ワークショップ報告書)科学技術未来戦略ワークショップ~ナノ製造・デバイス・システム~報告書/CRDS-FY2005-WR-14
エグゼクティブサマリー

●重要研究課題
平成18年度からスタートする第3期科学技術基本計画において、「ナノテクノロジー材料」は、第2期同様に重点4分野の1つに決定された。今後5年間、国が戦略的に投資を継続する。当ナノテクノロジー・材料分野において、デバイス、システム、およびそれらの製造技術に関する研究は、科学技術それ自体の発展のためにも、日本の未来の産業技術としても極めて重要である。本ワークショップで抽出された重要研究課題は次の通りである。
〈バイオ・メカニカルナノデバイス〉
ナノ材料またはナノ構造を用いた超高感度センサ
バイオ・化学・エネルギー応用マイクロ流体デバイス
MEMS・NEMS
〈情報・通信ナノデバイス〉
ナノ材料またはナノ構造を用いた超高性能計算素子
スピンデバイス
光ナノ構造と電子ナノ構造との相互作用を利用する量子情報デバイスや通信デバイス
〈製造ナノテクノロジー〉
トップダウンプロセスとボトムアッププロセスとの融合、物質固有の自立性を取り入れた実装技術や製造技術
高速かつ安価なサブナノメータ級微細加工技術
〈基盤技術・基盤科学〉
ナノ造形技術の現象理解・高度化や複雑ナノデバイスの設計のための理論や計算機科学
ナノデバイスの界面の理解と制御
スピントロニクス、マルチフェロイクスなどの開拓中科学領域・
量子計算のための理論的に予測される物理現象の実現

●研究システム
重要研究課題への直接投資も重要であるが、その投資効果を上げるために、研究施設、ファンディング制度、人材などに関する研究システム上の問題を解決する施策が必須である。本ワークショップで明らかにされた問題を以下に示す。
[研究施設]ナノテクノロジーに基づく分野融合的なものづくり研究を行える研究拠点や共用研究施設の整備が、諸外国と比べても不足している。また、既存の共用試作施設がユーザフレンドリになっていないという問題もある。ナノテク研究開発のインフラとして戦略的対応が必要である。
[ファンディング制度]多くのファンディング制度がアナリシス(分析・要素技術)研究向けに設計されており、複数技術のシンセシス(集積・結合)を必要とするリスクの高いものづくり研究がしにくい。デバイス・システムの研究の特徴を理解して、上述の課題の研究を有効かつ健全に進展させられるように、ファンディング制度を点検し、必要に応じて新設計する必要がある。
[人材]総合的なものづくり研究ができる、あるいはこれを本気でしようとする研究者 を、今後、どのように確保するかが問題である。研究内容が高度に専門化し、自分の専門以外のことに対して興味や理解を持たない/持てない研究者が増えてきている。また、世の中に必要とされる人材と大学等で育成している人材との乖離が顕在化している。上記に提案した重点研究課題を遂行するにあたっては、政策立案側、ファンディング側、および評価側にも、総合的なものづくり研究や分野融合研究を理解できる人材が強くかつ恒常的に求められている。

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