2005年7月
(ワークショップ報告書)21世紀の生物研究における知識の共有と理解/CRDS-FY2005-WR-06
エグゼクティブサマリー

 本報告書は当センターが平成15年3月に開催した「戦略ワークショップ(ポストゲノム系)」において今後のライフサイエンスの重要分野の一つとして抽出された「統合的な生命の理解に向けてこれまでや今後の研究で蓄積され、得られる実験データや知識を総合的に活用する」ために重要な研究分野に関して、その現状と今後の展開について第27回日本分子生物学会(平成16年12月8日-11日)において開催した学会戦略ワークショップ「21世紀の生物研究における知識の共有と理解の展開」の結果を取りまとめたものである。
 ヒト・ゲノム計画が今世紀初頭に終了した生命科学分野では爆発的なデータの増加と蓄積の時代に入った。一方で、研究分野(知識)の細分化が進み、生命科学分野の専門家においても分野の俯瞰ができにくくなりつつある現在、実験研究の対象自体に注目していたのでは、知識を体系化し、知識の再生産を図ることは不可能である。
 学会戦略ワークショップでは分野の俯瞰や巨大知識を体系的に整理し、知識化する試みなど最新の研究成果を紹介し、これからの生物研究を支える知識環境にどのような革新が必要かを統合データベース、オントロジー、言語処理、生命誌などの視点から、生命知識自体を研究の対象としている専門家の発表を中心に検討した。その結果、これからの科学の発展のためには生命科学分野において爆発的に蓄積されつつある実験データや論文知識を当該分野の研究者のみならず今後重要となる融合研究での生命科学分野以外の研究者や一般の人々が知識として有効に活用できる環境を構築する必要があることが指摘された。そのためには、まず、計算機利用を前提に、計算機側で知識の処理や知識に基づいた処理が可能なシステム(知的なシステム)を構築する必要があることが指摘された。その上で、研究者や研究分野の知識、論理体系を辞書やオントロジーなどの形で表現し、計算機の持つ巨大な計算能力と膨大な記憶能力を組み合わせて利用する新しい科学技術領域の研究開発を推進する必要があることが指摘された。

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