2018年12月
(調査報告書)計測横断チーム調査報告書 計測の俯瞰と新潮流/CRDS-FY2018-RR-03
エグゼクティブサマリー

 本報告書では、計測に関する様々な角度からの俯瞰、および、ICTと計測の切り口で考察した新潮流に関して俯瞰し概説する。さらに、産業動向、海外動向を調査した結果を示し、今後の計測関連科学技術の施策立案に資することを目的とする。

 社会・産業・科学のあらゆる場面において計測は深く根付き、無意識に利用していることも含めて、それ無くして現代社会が成立しないのは明白である。また、科学の発展の歴史を振り返れば、常に計測することによって新たな科学の発見がもたらされてきた。まさに「計測は科学の母」(mother of science)であり、産業・社会の先導役である。我が国の科学技術イノベーション政策としても、新たな計測技術をどのように研究開発するかという戦略は、将来に繋がる重要な課題といえる。

 JST研究開発戦略センターにおいては、その設立当初から計測に重きを置き、検討するチームやユニットを設置しながら継続的に議論してきた。その間多くの報告書や提言を公開し、様々な角度から施策の形成や研究者・企業等の議論に供してきた。今回の報告書では、その延長として計測技術の波及的な広がりや全体の俯瞰、科学技術各分野における計測に対するニーズと方向性、それらから抽出された要点を列挙した。一例を挙げれば、オペランド計測が放射光設備での実験のその場観測を中心に議論されるようになり、その流れが一般の研究室や、その対極にある極限環境でのその場観測・計測に供されるようになる流れがあり、その際の今後の注目点を記載した。また、生体計測やクライオ電顕の最新動向と今後の力点など、最先端の計測関連科学技術を記載した。

 さらに、昨今の科学技術の大きな傾向として、ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)がさまざまな形で全ての科学技術分野を横断、あるいは支える構図が顕著になってきた。この計測の領域においても、その発展にICTは大きく貢献してきており、それはいっそう拡大する傾向にあることが見てとれる。本報告書では、「計測×ICT」を新たな潮流ととらえ、ICT側から見た計測の位置付け、計測に対するICTの貢献の類型、今後の方向性を俯瞰した。

 諸外国でも計測関連の公的投資が広く行われており、我が国としてはこれらも参考にしながら戦略的に施策群を構築する必要がある。各国各地域が、この計測関連領域を科学技術の最先端と捉え、また、多くの科学技術分野に波及するレバレッジのような働きを期待して投資を行っている。産業動向の調査も付記したが、計測産業単独では比較的小さいとしても、自動車産業を始めとしてほぼ全ての産業がそれなくして成り立たない。産業と科学技術の双方を支え、または先導する計測関連科学技術を重要視する流れは、今後も加速することが予想される。

 本報告書は、JST研究開発戦略センターの分野を横断する計測を横断的に検討するチームによって作成された。分野横断的な視点での各種検討にも資すれば幸いである。

※報告書本文中の外部機関リンク先について、記載の無いものは2018年12月28日時点の情報

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