2010年7月
(調査報告書)政策形成における科学と政府の行動規範について-内外の現状に関する中間報告-/CRDS-FY2010-RR-02
エグゼクティブサマリー

 政策形成の過程において科学的知見が果たす役割は、近年ますます拡大している。そうした状況の下、科学的助言者が政府に対して科学的知見を提示する際の中立性・透明性の確保や、政府が科学的知見に基づいて政策を策定する際の公正性の担保が極めて重要な課題となっている。このため、海外では科学的政策形成の基盤となる行動規範の確立にむけた動きがみられる。
 米国では2009年3月9日、バラク・オバマ大統領が、政府における科学の健全性(Scientific Integrity)に関する包括的規範を検討するよう指示を出した。この指示を受けて、現在科学技術政策局(OSTP)を中心に当該規範の策定に向けた検討が進んでいる。なお、米国では、政府機関が公表する科学的知見の質を確保するためのガイドラインは既に存在する。また、連邦審議会法には、国家科学アカデミー(NAS)や各種審議会による科学的助言の中立性・独立性を確保するための規定が設けられている。
 英国でも本年3月24日、ビジネス・イノベーション・技能省(BIS)が、政府と科学的助言者それぞれの役割と両者の間の関係について包括的に規定した「政府への科学的助言に関する原則」を公表した。また、英国では以前より、政府機関が科学的助言を入手し活用する際の原則や、政府の審議会の中立性を確保するための規範が定められてきた。
 米国及び英国と比較すると、我が国においては政策形成における科学のあり方に関する行動規範が十分整備されているとはいえない。政府における科学的知見の取扱いに関する原則は定められておらず、また、科学的助言の中立性・透明性を担保するための具体的な行動規範も存在しない。だが、科学が政策形成において適切な役割を果たすべきであるという認識はいまや国際的にも広く共有されているところであり、我が国においても今後、関連機関により科学的政策形成に関連する行動規範の整備について議論がなされることが望まれる。
 なお、本報告書においては、米国・英国・日本及び国際機関における関連行動規範の現状についての概略をまとめたが、今後当センターにおいてはさらに調査の幅を広げ、内外の状況の進展にあわせて詳細に調査分析を進めていくこととしている。

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