2009年10月
(調査報告書)「科学技術・イノベーション政策の科学」-エビデンスベースの科学技術・イノベーション政策をめざしてー/CRDS-FY2009-RR-01
エグゼクティブサマリー

急速なグローバル化と共にますます激化する国際競争の下、地球規模問題が各国の持続的成長の制約要因として深刻化している。この状況を打開する唯一の手段がイノベーションであるとの共通認識が広がっている。
同時に、イノベーションは研究開発の成果が既存の社会的価値の破壊と新たな価値の創出につながる社会システムの構築であると考えられるようになってきている。これはイノベーションによる社会の構造的変移を一つのシステムと捉え、それを構成する要素をスタティックに捉えるにとどまらず、複雑に相互作用するダイナミズムを把握しようとしているものである。このような学術的な取り組みは「科学技術・イノベーション政策の科学」と呼ばれ、科学技術・イノベーション政策を効果的、効率的に推進するために体系化された新興の融合分野として、欧米を中心に活動が活発化している。
科学技術・イノベーション政策の目的は、効果的な研究開発による効率的なイノベーション創出である。より効果的かつ効率的な科学技術・イノベーション政策を実現するためには、まず、過去・現在におけるイノベーション・メカニズムを理解した上で、これまでの政策の効果や効率性について、科学的なエビデンスに基づいて検証を行う必要がある。さらに、その検証の結果を、次の政策立案に活かす仕組みを設計することが不可欠である。それらの要請に応える「科学技術・イノベーション政策の科学」の構築が必要とされている。
「科学技術・イノベーション政策の科学」を構築し深化させる「場」を形成するためには、以下の3点が重要である。
1.「科学技術・イノベーション政策の科学」を構築していくための議論の「場」の構築。特に、イノベーションの社会的ニーズや社会・経済学的帰結の重要性を踏まえると、異なる科学分野の知識を社会との関わりを考慮して横断的に評価できるアプローチが必要であり、このためには社会科学・人文科学領域からの積極的関与が必要である。
2.科学技術に関する社会的なニーズを的確に把握し、政策立案・実施担当者の具体的施策に反映させるべく、適切なインプットを行うために、政策のための科学を探究するアカデミアと政策立案担当者、政策実施担当者との議論の「場」の形成。
3.科学技術・イノベーションの進捗の実態を正確に捉え、政策の過去の評価と政策実施の成果をエビデンスに基づいて評価するための体系的な理論枠組みを提案するアカデミアと、それに基づいてエビデンスを的確に捉える統計を作成する統計作成部局との連携の「場」の構築。

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