2019年3月
(研究開発の俯瞰報告書)システム・情報科学技術分野(2019年)/CRDS-FY2018-FR-02
エグゼクティブサマリー

 システム・情報科学技術は汎用的な技術分野であり、他のさまざまな分野においてその効果を発揮し、多様な領域の問題解決や新産業創出を加速する。エネルギー・交通などの社会インフラや行政・住民サービスといった社会システムを改善し、情報通信産業のみならず、製造業やサービス業、農業などの効率化・高付加価値化を実現する。さらに、エネルギー・環境、ナノテクノロジー・材料、ライフサイエンス・臨床医学、人文社会科学などの発展にも大きく寄与する。

 本俯瞰報告書では、Society5.0の実現にむけシステム・情報科学技術が目指すべき「産業構造の変革」「社会システムの変革」「教育・研究の変革」「知の活用の変革」の4つのビジョンと、システム・情報科学技術の進化における「スマート化」「システム化・複雑化」「ソフトウェア化・サービス化」といった技術トレンドとの両方の観点から、当該分野における研究開発を俯瞰した。

 当分野の俯瞰は、基盤レイヤーと戦略レイヤーの2層で捉え、戦略レイヤーに含まれる研究開発領域として「エマージング性」「社会インパクト」「ビジョン・ミッション」の3点を選定基準に、戦略的に重要度が高い33の研究開発領域を特定した。CRDSでは、この33の研究開発領域を先述の3つの技術トレンドにマッピングした上で、「人工知能・ビッグデータ」「ロボティクス」「社会システム科学」「コンピューティングアーキテクチャ」の4俯瞰区分にまとめた。

 「研究開発の俯瞰報告書(2017年)」からの主な更新点として、戦略的研究開発領域の刷新とともに、俯瞰区分を6区分から4区分に見直した。また、区分ごとの俯瞰図についても、前回版の区分俯瞰図の更新に加えて、歴史的背景や動向・トレンドが判断しやすいよう時系列の区分俯瞰図を新たに作成した。

 社会・経済の動向を含めたわが国の置かれた環境、現在の日本の取り組み状況やポジションを踏まえると、単に技術発展の世界的な方向性だから取り組むというのではなく、国際競争力を構築・維持するための作戦・シナリオや、国として取り組むべき意義を明確に持った研究開発投資戦略が必要である。本俯瞰報告書では「強い技術を核とした骨太化」「強い産業の発展・革新の推進」「社会課題の先行解決」「社会基盤を支える根幹技術確保」の4つの基本的な考え方を提示した。また、研究開発の現状の全体像を把握・分析・可視化することに加え、CRDSが考える今後のあるべき方向性・展望を顕在化させるため、上記の4つの考え方に基づいて国として推進すべき20の重点テーマを抽出した。

 システム・情報科学技術分野の研究開発戦略の立案には、技術トレンドだけでなく、さまざまな形での、社会とシステム・情報科学技術との相互作用を理解する必要がある。とくに、科学技術の進展と雇用の関係、技術的格差の経済的格差への影響、科学技術がもたらす倫理的・法的・社会的な問題を常に意識すべきである。これらの動向に対してシステム・情報科学技術が適切な発展を遂げ、健全で持続可能な社会を構築するためには、多様な観点からの想像力ある検討が必要である。本俯瞰報告書はそのために必要ないくつかの視点を調査・分析によって中立的な立場から提供するものである。

※本文記載のURLの内、特に記載の無いものは2019年2月28日時点のものです。

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研究開発の俯瞰報告書 システム・情報科学技術分野(2019年)
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