2019年3月
(研究開発の俯瞰報告書)環境・エネルギー分野(2019年)/CRDS-FY2018-FR-01
エグゼクティブサマリー

 本報告書は、JST-CRDSが環境・エネルギー分野における最新の研究開発動向やトピックス、研究課題、国際動向などの情報を中立的かつ客観的に俯瞰調査、分析した結果をまとめたものである。俯瞰調査にあたっては、環境・エネルギー分野において26の研究開発領域を抽出し、各領域の専門かつ最新の知見を有する学協会、有識者の協力を得た。

 世界が憂慮するグローバルリスクにおいて、異常気象、自然災害、気候変動緩和や適応への失敗といった環境・エネルギーに関わる項目が上位を占めている。各国・地域は国際的な協調を模索しながら国連の持続可能な開発目標(SDGs)やパリ協定に協力して取り組み、同時に自国の発展のための安全、安定、かつ経済的なエネルギーシステムの構築や、環境の保全及び持続可能な管理・活用に取り組んでいる。

 研究開発動向の俯瞰調査から、我が国の環境・エネルギー分野の研究開発は着実に進められてきており、一部では世界的にトップ水準の取組みが認められた。その一方で、工学系の大学院進学者数の大幅な減少に加えて、工学系の基礎基盤的な研究を戦略的に推進する機関や枠組みが国内にほとんど無く、我が国の産業を支える環境・エネルギー分野の研究開発力の低下につながる危機感が高まっている課題などが浮かび上がった。

 環境・エネルギー分野においては引き続き中長期的観点から大きな方向性を示し、それに向かう研究開発を全体バランスを考慮しながら推進していくことが必要である。またこれを実現するためには、科学技術と社会との関わりや俯瞰的な視野を持った政策的リーダーシップの重要性がこれまで以上に増すと予想される。

 今後の我が国における環境・エネルギー分野の研究開発の方向性として重要なキーワードは5つある。それは、「ゼロエミッション」、「アダプテーション」、「サーキュラー」、「スマート」、「セーフティ」である。持続可能な社会の構築と発展に向け、持続可能性(サステナブル)と包摂性(インクルーシブ)を中心的な価値観として捉えた上で、これら5つを大きな方向性として掲げつつ研究開発を統合的に推進していくことが必要である。なおこれらの方向性は国際社会が目指す方向性とも概ね一致しており、自国における取組みと同時に国際的な協調も意識した対応が求められている。

※本文記載のURLの内、特に記載の無いものは2018年12月1 日時点のものです。

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 目次
研究開発の俯瞰報告書 環境・エネルギー分野(2019年)
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