2013年3月
(戦略プロポーザル)ライフサイエンス・臨床医学分野におけるデータベースの統合的活用戦略/CRDS-FY2012-SP-06
エグゼクティブサマリー

データベースの解析が、新たな発見を導くことは議論を待たない。近年では、より巨大なデータベース、複数のデータベースにまたがる複合解析の必要性が増し、その可能性を追求するため、ビッグデータというデータサイエンスの新しい流れも生まれた。

医療の世界では個別化医療を目指す動きが顕著であり、その実現のため、個人ゲノム解析結果を診療・治療に取り込む流れが世界的に動き始めた。遺伝疫学的な研究は1 千万人規模のデータが必要とされる場合があり、さらに個人ゲノム情報も取り込むことを仮定した場合、大規模、高スループットのデータベース解析をどのようにして、セキュアで、効率的、正確に実行するか、技術的な課題も大きい。

本プロポーザル「ライフサイエンス・臨床医学分野におけるデータベースの統合的活用戦略」とは、我が国のデータベース事業によりこれまで積み重ねられたデータを活用するための次世代戦略を提言するものである。基礎科学系情報、臨床系情報さらには個人ゲノム情報をつなぎ、これらを統合的に解析することで、個別化医療の推進、ライフサイエンスイノベーションの実現に資するアウトプットを創出する。個人情報を扱う提案であるため、本プロポーザルにおいては、「我が国のライフサイエンス・臨床医学データを、個人の生活を脅かすことなく、国民の生活に還元するために活用する」という理念に基づいて議論し、提言の立案を行った。

本プロポーザルは、情報共有を可能とするデータ規格標準化、法整備と推進体制に関する提案1、ライフサイエンス・臨床医学分野に適合した革新的情報処理・解析技術を開発する提案2、人材配置のアンバランスを解消して研究開発を推進する提案3 から構成されている。これら3つの提案を総合的に実施することで、個別化医療の実現等に資するアウトプットを生み出すことができる。国民の健康増進など、直接実感できるアウトカムにつながる領域のプロポーザルであり、迅速な具体化を提言する。

◆ 提案1:「情報ネットワーク基盤整備」
データ規格の標準化・情報交換推進
個人情報保護とデータ活用を両立させうる法整備
省庁連携によるデータネットワーク推進協議会設置と運営
◆ 提案2:「情報処理・解析研究」
最新の統計学と情報工学を駆使したライフサイエンス・臨床医学情報解析研究
機微情報のセキュリティ管理ができる解析サイト構築
◆ 提案3:「人材育成」
情報サービスを運用する技術者の継続的雇用
生物統計学、バイオインフォマティクスの人材育成

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