2012年2月
(戦略プロポーザル)統合サービスシステムとしての都市インフラ構築のための基盤研究/CRDS-FY2011-SP-06
エグゼクティブサマリー

近い将来に予想される大規模災害の発生、また少子高齢化社会、低炭素社会化や循環型社会化の到来に対処するために、人口の集中する都市において様々な都市サービス機能を効率化し、また頑健性や復元力を強化することが喫緊の課題となっている。本戦略プロポーザルでは、これからの都市におけるサービス機能を提供するインフラシステム(以降、都市インフラと略記)を効率化し、また頑健性や復元性を強化するための研究推進戦略を提言する。特に、エネルギー、水、交通・物流、情報・通信などの都市生活を送る上で不可欠な都市インフラを対象として、そのサービス機能をモデル化し、仮想空間上で統合することにより、機能の評価、予測、さらに制御・管理を効率的に行うためのシステム科学アプローチの展開を目指す。具体的には、近年、研究の進展が著しい、またはその萌芽がみられる、

■ 都市動態(人の移動や物の動きなど)の計測、解析手法
■ 計算科学によるモデル化、シミュレーション手法
■ 仮想空間上でのデータ、モデルの統合化手法

を導入することにより複雑化した都市のサービス機能の動態を評価、予測し、さらに効率的な管理を行うための統合システムを確立する。

本戦略提案では、次世代の都市インフラを構築するためのシステムアプローチを提案する。本提案は、都市のサービス機能総体を仮想空間上でモデル化すること、特に、サービス機能を人や物、さらには土地利用の動き(動態)を核としてモデル化すること、に特徴がある。課題は以下の通りである。
サービス機能の何をどう計測するか、計測したデータをどう活用するか(都市動態の計測と解析)
サービス機能をどうモデル化し、予測・評価などを行うか、予測結果をどう検証するか(都市動態のモデル化、シミュレーション)
サービス機能を管理し制御するためのシステムをどう構築するか(仮想空間上でのデータ、モデルの統合による都市動態統合解析システム(Urban Dynamics Platform ; 以降、UrDYP と略記)の構築)
都市動態統合解析の基盤となる時空間理論構築

これら4 課題により、都市空間におけるサービス機能の動的な計測、モデル化、そして制御・管理方式の確立を目指す。

今後、都市インフラの効率化などに向けては、各種都市インフラの水平的な連携が重要な役割を果たすと予想される。エネルギー供給を例にとると、今後、都市エネルギー供給は複数の電力源を利用する分散化に向かうとみられるが、様々な電力源からのエネルギーを効率的に利用するには分散型の統合制御、例えばスマートグリッドシステムの採用が不可欠である。電力供給のスマートグリッド化については、すでに世界的にも多くの研究が開始された。日本はもとより世界的な経済の減速の中で、大規模な都市開発が難しくなりつつある現在、各種都市インフラの統合的な連携を図ることは、将来の負担を軽減することにつながる。

本提案で示す新たな都市インフラ構築の方法論により、近い将来にその到来が予想されている少子高齢化社会に向けた取り組みのみならず、気候変動に対応するための省エネルギー・低炭素都市、また循環型都市の実現に向けた取り組みが加速されると期待される。また、今後発生が予想される大規模災害に対して頑健かつ復元性に富む都市の構築が期待される。これらの貢献が、日本のみならず今後のアジア・アフリカなどにおける新たな都市の建設に向けても展開される意義は大きい。

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