2011年7月
(戦略プロポーザル)エネルギー分野研究開発の戦略性強化/CRDS-FY2011-SP-03
エグゼクティブサマリー

本提言は、わが国のエネルギー分野研究開発の戦略性向上に向け、「府省横断的な総合計画の立案・推進機能の強化」ならびに「基礎・基盤研究機能の強化」の必要性を指摘し、その方策を提案するものである。
エネルギー計画は、あらゆる社会活動や個人生活の目標と期待を集約して策定される国家計画であるが、人口動態、産業構造、資源国際市場の影響などの不確かな要素を含む、極めて複雑な総合的政策でもある。わが国はエネルギー利用に関わる新技術開発を推進し、エネルギー安定供給と気候変動防止への国際的貢献を目指してきた。しかしながら、現在、国民各層に合意、共有されるエネルギー総合計画は見あたらず、それを基に立案されるエネルギー研究開発総合計画も存在しない。米国では1970年代に、英国では3年前に、単一の省としてエネルギーに関わる諸課題をすべて同じ土俵で総合的に議論し計画を作成する体制を整えている。わが国に相応しいエネルギー総合計画をいかに構築していくかが、喫緊の課題となっている。
このような中、2011年3月の東日本大震災と福島原発事故は未曾有の広域災害をもたらし、わが国全体の社会・経済・行政システムの再構築を迫ることとなった。そして、その根幹には国のあらゆる活動を支えるエネルギーの問題があり、日本の安全・安定なエネルギー需給の姿を中長期にわたり総合的に描くことが国民的要請となっている。
こうした観点を踏まえ、以下を提言する。

【提言】国家エネルギー総合計画ならびにエネルギー研究開発総合計画の立案・推進機能を強化すべきである。
エネルギー分野の研究開発を効果的に推進するために、中長期を視野に入れた国家エネルギー総合計画と課題探索(社会的期待発見研究)に駆動されるエネルギー研究開発総合計画を、府省横断的に立案し、産官学が協働して推進する体制と機能を強化すべきである。
エネルギー分野の研究・開発・実用化に関わる研究者、技術者、行政担当者の多様な知識や経験を活かし、研究開発総合計画の共有を図るために、計画策定過程を広く開かれたものとすべきである。
エネルギー分野の難度の高い研究開発課題への息の長い挑戦を奨励するため、基礎・基盤的な研究に関わる計画の基本方針を堅持すべきである。そして、エネルギー分野政策目的基礎研究拠点を整備し、それを核とした異分野の研究者による課題解決への協働、基礎研究と応用・開発研究との連携を促進すべきである。

本提言では、東日本大震災ならびに福島原発事故からの復興策のひとつとして、エネルギー分野の政策目的基礎研究拠点のひとつを東北地域に設置することを提案している。こうした基盤研究拠点とそれらを核としたネットワーク型研究開発の推進は、わが国の科学技術イノベーションにとり重要な貢献を果たすものといえる。

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