2010年6月
(戦略プロポーザル)ライフ・イノベーションの課題/CRDS-FY2010-SP-01
エグゼクティブサマリー

超高齢社会を迎えたわが国では、高齢者人口の増加に伴う医療費の高騰や医療ニーズの増大が続いている。世界ではわが国同様に高齢化が進む一方で、新興国の経済発展に伴う医療ニーズの増大や多様化も生じており、医療産業の国外展開が先進諸国の潮流となっている。これら世界規模での医療ニーズの増大と多様化から、産業としての医療分野は今後ますます発展するものと期待されている。

 バイオテクノロジーのめざましい発展等によって医療技術は大きく進歩した。医療技術の進歩は医療産業の活性化にもつながる。ところがわが国ではその活性化を阻む様々な問題があり、結果として医療産業全体が低迷している。これらの現状を打破するためには医療・介護・健康分野における技術革新、いわゆるライフ・イノベーションをわが国において強力に推進することが必要である。ライフ・イノベーションを通じて国民に対する最 新の医療サービスの安全かつ迅速な提供が医療経済的な妥当性をもって可能になるとともに、医療がわが国の成長牽引産業となり、かつ今後の高い経済成長や雇用創出実現の原動力となることが期待できる。

ライフ・イノベーションの実現にあたっては制度と研究環境両面の整備・改善が必要であり、そのためには産学官の協力に加えて政府自身が果たすべき役割も大きい。よって、政府が実施すべき5つの具体方策を以下に提言する。

(1)臨床研究にかかる人材育成
  ライフ・イノベーションの基礎となる橋渡し研究や臨床研究の実施に必要な研究人材の育成、臨床研究の実績等を評価するための体制の整備、臨床研究フェローシップの導入

(2)臨床研究の一層の推進と支援制度の充実
  臨床研究実施機関および実施支援機関(臨床研究支援センター等)の整備、臨床研究の迅速な実施を支える基盤的研究の推進、規制当局と臨床研究実施機関および実施支援機関との人材交流を通じた情報交換と相互理解、がん等の主要疾患の登録制度の充実

(3)規制のあり方の改革
  政府機関としての医薬品庁(日本版FDA)の新設による日本版IND 制度の導入を軸とした医薬品・医療機器等の審査・承認体制の一元化と充実

(4)府省連携制度の構築
  既存の健康研究推進会議の再活性化と拡充による効率的な研究費および研究基盤の運用ならびに臨床研究の総合的な方針策定と支援

(5)バイオベンチャーの支援と特区の形成
  日本版SPA 制度の導入、研究資金確保ための制度整備および産業革新機構等による支援、特区形成と諸制度の改革・緩和

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