2010年3月
(戦略プロポーザル)地域環境・生態系予測モデルの統合的研究 ~気候変動適応策立案を目指して~/CRDS-FY2009-SP-10
エグゼクティブサマリー

地球規模の気候変動が地域の生態系にどのような影響を与えるのか、観測およびモデル化を行い予測することによって、生態系の再生と保全を促進し、地域の持続可能性に寄与する。これを達成するため、2 種類の統合を行う統合的研究の推進を提案する。まず、知識の創造と技術の創出と問題解決の支援を統合し、さらに個別の生態系モデルを流域圏モデルへと統合する。

人類の活動に影響を及ぼし、その存続の脅威にもなりうる環境問題の解決は、社会の期待であり、科学技術の貢献が求められている。この問題の解決のための領域が環境科学である。問題が地域レベルの問題であっても、地球レベルの問題であっても、問題の解決を目指さない限り、環境科学に存在意義はないと言える。
気候変動は、現在人類が抱える環境問題の中で最大のものである。気候変動によって、地域社会の生存基盤である生態系がどのように変化するのか、その変化にどのような予防的対策すなわち適応策をとればよいのか。この真摯な問いに、科学技術は答えなければならない。

そのため、気候変動が地域に及ぼす影響を予測するモデルを開発し適応策を立案する統合的研究を推進する。特に、水・物質循環、生活および経済の活動が行われる流域圏を対象として、一次産業や居住などの社会活動と関わりのある陸上・淡水・海洋生態系を選択する。そして、気候要素や生物種の分布に関する時間的変化を観測するとともに、多重ストレスに対する生物種の応答過程を示すモデルを構築し、生物多様性や生態系サービスの時間的変化のシミュレーションを行う。その結果に基づき、生態系を保護・管理する方策を立案し、生態系の再生・保全のための具体的行動を促進する。最終的には、それぞれの生態系モデルを統合して、流域圏の系全体としての整合性を図る。これら一連の取り組みには、生態学者や工学者、技術者、自治体・住民など、多様な主体の参加が必要である。
気候変動問題はこれまで地球規模での取り組みを中心に、解決に向けた努力が積み重ねられてきた。その解決をさらに加速させるには、各地域における努力が不可欠である。この地域を対象とした新しいアプローチを推進することによって、科学技術は知識の創造とともに問題の解決に貢献するものとして大きく発展する。同時に、地域社会の生存基盤の保全と持続可能性を実現する。さらに、日本において蓄積された手法や方法論などの成果を他の地域や国での取り組みに適用することによって、地球規模での持続可能性に寄与する。

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