2009年11月
(戦略プロポーザル)新興・融合科学技術の推進方策に関する戦略提言 社会的課題の解決と科学技術のフロンティアの開拓を目指して/CRDS-FY2009-SP-03
エグゼクティブサマリー

地球環境問題、資源・エネルギー・環境制約の下での持続的発展、サービス化の進展による新しい産業の出現など、現代社会が直面し、科学技術に解決への貢献が期待される課題が急増した。これらの多くは複雑な現象であり、単独の科学技術「分野」による対応が困難で、分野を超えた科学技術の結集を必要とするものである。第4期科学技術基本計画に向けて「課題解決型の科学技術の重点的推進」が重要であるとの認識が高まっている。
本ポロポーザルはこれら背景に、社会的課題から誘発される新興・融合科学技術の具体的な推進方策を提言するものである。

これまで、分野融合的な新たな科学技術が開拓されてきた実例から、新興・融合科学技術の発展のプロセスについて、以下の諸点が示唆された。
1.「新しい知識の創造、科学技術のフロンティアの開拓」と「社会的価値の創造、課題解決への具体的貢献」の2つの方向性を有する。
2.知識の創造と社会的価値の創造に向けた多様な取組が連鎖的に融合した過程である
3.5つの発展段階が認められる。
ステップ1 社会的課題からの新しいアイデア、アプローチの芽出しと研究開発手法や方法論の確立
ステップ2 新しい研究手法、方法論に基づく基盤作り
ステップ3 新しい手法、方法論の様々な現象やケースへの適用
ステップ4 シーズの展開、技術の実証、産業化への橋渡し
ステップ5 技術の効果の検証、安全性の確認、新たな基礎的研究課題の導出新興・融合科学技術の推進に向けた4つの提言
4.15-20年以上かけて発展するプロセスである
5.研究者、そして産・学・官・社会の参加者を拡大していく過程である。

このため、新興・融合科学技術を推進するに際しては、
 ●研究開発を制度に合わせるのではなく、研究開発の進展に合わせた支援
 ●2つの融合、すなわち、分野の融合と知識創造と社会的価値創造の融合
を実現することが必要であり、具体的には以下の4点を提言した。

新興・融合科学技術の推進に向けた4つの提言
提言1:社会的課題に向けたシームレスなプログラム
提言2:新興・融合科学技術の推進者「戦略マネージャー」の確立
提言3:社会的課題と新興・融合科学技術を核とした幅広い研究者や産・学・官・社会のネットワークの形成
提言4:研究者、特に若手研究者が新興・融合科学技術に挑戦しやすい組織と環境の形成

さらに、これまでの技術予測や技術のロードマッピング等の関心が主に「どのような研究や技術に投資すべきか」(what)であったのに対し、「どのような社会的課題に応え、価値をもたらすためか」(for what)という取り組むべき社会的課題を明らかにするため、社会の知や科学技術への期待を結集する産・学・官・社会のプラットフォームとプロセスを確立することが急務である。
また、全体的な方向を示す「社会的課題」の継続性とその下で新興・融合科学技術の発展に応じて選択される推進ツールの「研究領域」の柔軟性を意識して両者の時間軸と内容を組み合わせることが必要である。

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